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2017 Fiscal Year Annual Research Report

「あかり」遠赤外線地図を用いたSDSS銀河のスタック解析

Research Project

Project/Area Number 17J05056
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

岡部 泰三  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2019-03-31
Keywords観測的宇宙論 / 銀河 / 銀河団 / ダークマター / 楕円率
Outline of Annual Research Achievements

銀河団においてダスト分布はどこまで広がっているのか?ダストは星形成の産物であるから、銀河の付近に局在していると考えるのが自然である。しかしここ最近、銀河スケールをはるかに超えたダスト分布を示唆する研究結果がいくつも上がっており、未だコンセンサスには至っていない。ダストはその冷却効率の良さから、その総量が微量であっても銀河団の構造形成に少なからぬ影響を与えることが示唆されている。
銀河団中におけるダストのような物質分布の理解において、避けては通れない道がその非球対称性だ。歴史的にダークマターハローの形状は球対称性が仮定され、その仮定の基でシミュレーションと観測は非常にいい一致を示して来た。しかしシミュレーション中でその形状が球対称ではなく、むしろ普遍的に楕円体で近似できることを示す研究結果が2002年に報告された。以来、追随する様々な研究がなされ、その非球対称性は銀河団のような重いハローで顕著になることがわかっている。事実、観測においても現在までに銀河団の非球対称性を示す結果が多数報告されており、これをモデル化することは観測事実を正しく解釈する上で必要不可欠である。
ダークマターのみのシミュレーションをもとに、銀河団ハローの非球対称性を調べた論文は数多く存在するが、星形成などのバリオン物理が入ったより現実的なシミュレーションにおいてこれを調べた研究はほとんどない。そこで本年度は数多くの研究結果を再現する最先端のHorizonシミュレーション中の銀河団40個について、物質分布に加えX線表面輝度、スニヤエフ・ゼルドビッチ効果の擬似観測を行うことで楕円率の理論予測を導出した。さらに観測から楕円率を測定するときに重要な、各成分ごとの主軸の角度相関に関しても理論予測を与えた。
以上の点から本研究は銀河団中のダスト分布のみならず、宇宙論分野においても非常に重要な役割を果たすと期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の予定では銀河団中において、ダストがどのように分布しているのか(銀河周りに局在しているのか、それとも銀河団のホストダークマターハローのプロファイルに従って幅広く分布しているのか)という問いに終始する予定であった。しかし今年度はダスト分布のみならず、ダークマターや銀河団内高温ガスのような幅広い物質分布に対し、系統的に調べることができたという点において、当初の計画以上に進展していると判断する。この銀河団の形状を系統的に調べる研究は、当初の計画である銀河団中のダスト分布を調べるという点においても必要不可欠であるにとどまらず、様々な物理モデルの検証に有用であることがわかっている。例えば、ダークマターモデル、フィードバック現象、修正重力理論などその応用分野は多岐にわたる。自己衝突ダークマターモデルは密度が高い領域において比較的丸い形状を予測するため、内側の楕円率はそのモデルの制限に使われるし、活動的銀河核のフィードバックの強さや修正重力理論はそれぞれ特徴的な楕円率を予測するために、銀河団ホストハローの形状はやはりこれらのモデルを制限する。
この点において、当初は考えもしなかったが結果として物質分布に対する新たな知見を得ることができ、さらにそのインパクトは銀河形成の文脈のみならず、観測的宇宙論分野にまで広がりを見せた。従って当初の計画以上に進展していると結論つける。

Strategy for Future Research Activity

今後は宇宙における物質分布の系統的な理解という当初の予定を鑑みて、さらにこの銀河団の形状に関する研究を進めていきたいと考えている。具体的には(1)引き続きHorizonシミュレーションを用いて、この楕円率・さらに物質分布の主軸の向きの相関が、どのような由来で形成されたのかを調べる。(2)実際に観測データを用いて、シミュレーションと比較することで、現状の宇宙論・銀河形成論モデルに対する制限を与える。の2つを軸として、研究を進めていく予定である。
(1)ではシミュレーション中での時間発展を追うことで、銀河団ホストハローやその中心銀河がどのように形成されたのか、両者の主軸の向きの相関は何に起因しているのか、を調べる予定である。
(2)ではHyper Supreme-Camのデータを用いて、メンバ銀河、中心銀河、弱重力レンズ効果による重力場の分布の形状を、他観測機器データを用いてX線表面輝度、スニヤエフ・ゼルドビッチ効果の分布を調べる予定である。
この二つを突き詰めていくことで、銀河団のような構造がどのような経路をたどって形成されてきたのか、また宇宙における物質分布について系統的な理解が得られるものと信じている。

  • Research Products

    (5 results)

All 2018 2017 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] コートダジュール天文台(フランス)

    • Country Name
      FRANCE
    • Counterpart Institution
      コートダジュール天文台
  • [Journal Article] Projected alignment of non-sphericities of stellar, gas, and dark matter distributions in galaxy clusters: analysis of the Horizon-AGN simulation2018

    • Author(s)
      Okabe Taizo、Nishimichi Takahiro、Oguri Masamune、Peirani S?bastien、Kitayama Tetsu、Sasaki Shin、Suto Yasushi
    • Journal Title

      Monthly Notices of the Royal Astronomical Society

      Volume: 478 Pages: 1141~1160

    • DOI

      10.1093/mnras/sty1068

  • [Presentation] 銀河団と中心銀河の楕円率と主軸の向きの相関2018

    • Author(s)
      Okabe Taizo、Nishimichi Takahiro、Oguri Masamune、Peirani S?bastien、Kitayama Tetsu、Sasaki Shin、Suto Yasushi
    • Organizer
      天文学会 春の年会
  • [Presentation] 銀河団のダークマターとバリオン分布の 楕円率と主軸の向きの相関2017

    • Author(s)
      Okabe Taizo、Nishimichi Takahiro、Oguri Masamune、Peirani S?bastien、Kitayama Tetsu、Sasaki Shin、Suto Yasushi
    • Organizer
      天文学会 秋の年会
  • [Presentation] Far-infrared emission from SDSS galaxies in AKARI all-sky map2017

    • Author(s)
      Taizo Okabe, Toshiya Kashiwagi, Yasushi Suto, Shuji Matsuura, Yasuo Doi, Satoshi Takita and Takafumi Ootsubo
    • Organizer
      Star Formation in Different Environments 2017
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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