2018 Fiscal Year Annual Research Report
Ultracold highly charged ion generation and spectroscopy toward time variation detection of fundamental physical constant
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17J05087
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
木村 直樹 上智大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 多価イオン / 可視分光 / 電子ビームイオントラップ / 新校正手法 / 遷移波長精密測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、極低温多価イオンの精密分光に向けた道筋をつけることにある。 本年度は、前年度に精密分光実験の最初のターゲットとして選定し、電気通信大学の装置『小型電子ビームイオントラップ』を用いて観測したバリウム多価イオンの可視光遷移の波長測定精度を向上させ、精密に遷移波長を決定することに注力した。 従来の波長測定実験において、不確かさの改善を制限していたのは、外部照射の標準光源を用いる波長校正法に起因する系統誤差である。その系統誤差を排除するため、電子ビームイオントラップ内で参照スペクトルを発光させる新しい波長校正法を提案・実証した。この新校正法では、バリウムとは別の元素を電子ビームイオントラップ内に導入し、校正用の発光ピークを観測する。参照用の導入元素の選定およびその導入量の最適化を行った結果、Arガスを5×10^-7 Pa程度導入することで、Ba7+を生成・捕捉しながらAr+の参照用ピークを同時に観測することに成功した。その後、観測された混合種の発光スペクトルを詳細に解析して、Ba7+の基底状態における微細構造間遷移(2P1/2 - 2P3/2 : 424 nm)の遷移波長を10^-5以下の不確かさで決定した。この不確かさは従来の測定よりも1桁以上小さい値となっている。 加えて、Neガス導入によるBa6+の微細構造間遷移(3P0 - 3P1 : 645 nm)の発光と中性Neの発光との同時観測実験にも成功した。これによって、導入する参照用元素を変更すれば、別の波長領域でも新方法は有用であることが確認され、本校正手法の汎用性が示された。
本研究で決定された遷移波長は、レーザー分光実験の成否を左右する非常に重要な情報であり、従来の不確かさを1桁以上改善した本研究の成果は、基礎物理定数の時間依存性検証へ向けた実験的研究への第一歩を示すものである。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)