2018 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドフォールドマーによる高活性ペプチド触媒の開発とホスフィンリガンドへの応用
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17J05108
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
梅野 智大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ジ置換アミノ酸 / ヘリックス / ペプチド / 不斉反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリカルペプチドの有機触媒的利用と金属触媒反応の不斉リガンドとしての開発研究を行っている。有機触媒的利用としてミセル形成可能なヘリカルペプチド触媒の開発を試みているが現在のところミセル形成ペプチドの合成には至っていない。一方で、ヘリカルペプチドを触媒として環状の共役エノンに対するアルキルマロネート類のマイケル付加反応を行ったところ、基質の環の大きさにほとんど影響を受けることなく高いエナンチオ選択性を示した。この結果は、従来の一般的な低分子の有機触媒を用いた場合には達成できておらず、ヘリカルペプチド触媒の優れた点となった。 ヘリカルペプチドを金属触媒反応の不斉リガンドとして用いる研究は、様々な配列を持つペプチド型ホスフィン配位子を合成し、いくつかの金属触媒によるアゾメチンイリドの [3+2]付加環化反応を検討した。基質としてベンザルアセトンを用いた反応では、ペプチドN末側にイソロイシンを導入したヘリカルペプチド型配位子を用いると非常に高い選択性を示すことが明らかとなった。この反応は、ヘリカル構造を形成できないペプチドでは十分な選択性を得られず、ヘリカル構造の重要性が示唆された。また、本配位子は、これまで報告例のない基質を用いた反応でも高い選択性を示すことが明らかとなり、さらなる検討を行っている。なお、高い選択性を示したイソロイシン含有ペプチド型ホスフィン配位子は、X線結晶構造解析によりヘリックス構造を形成していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の低分子有機触媒とは異なる中分子有機触媒としてのヘリカルペプチド触媒の有効性が示された。 また、ペプチド型ホスフィン配位子の開発は順調に成果が得られており、高い選択性を示すヘリカルペプチド型ホスフィン配位子の開発に成功した。本配位子は、これまで報告例のない反応への適用も検討中であり、良い結果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで報告例のない反応に対して、ヘリカルペプチド型ホスフィン配位子を適用し、高い選択性を目指す。
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