2017 Fiscal Year Annual Research Report
臓器透明化技術と多光子励起顕微鏡を用いた心血管疾患の三次元病態解析
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17J05193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 隆行 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 臓器透明化 / 多光子励起レーザー顕微鏡 / 血管新生 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 臓器透明化技術CUBICおよび臓器ホールマウント染色による臓器全体全層における三次元血管イメージングの構築 マウス心臓および肺において臓器透明化技術CUBICによる処置を施したところ、臓器透明化処理が適切に行われることを確認した。さらに種々の抗体、レクチンを用いて、心臓および肺において臓器ホールマウント染色を施行した後に、多光子励起レーザー顕微鏡を用いて断層撮影を行うことにより、臓器全体・全層において中・大血管および微小血管構造を三次元画像として構築することに成功した。 (2) Cre-loxpシステムを用いた蛍光タンパクによる心筋細胞および炎症細胞イメージングの構築 Cre-loxpシステムを用いて、心筋細胞および炎症細胞(マクロファージ)を蛍光タンパクによって標識するシステムを構築し(αMHC-cre/+;R26tdTomatoおよびLysm-cre/+;R26tdTomatoマウス)、CUBICによる透明化処置を施したところ、臓器全層における心筋細胞の描出および炎症細胞の描出に成功した。また先述した臓器ホールマウント染色を併せて用いることにより、臓器全体・全層において心筋細胞と血管形態、また炎症細胞と血管形態を同時に描出する手法を確立することに成功した。 (3) マウス圧負荷心肥大モデルにおける微小血管リモデリングの評価 (1)で確立した三次元微小血管構築を用いて、マウス圧負荷心肥大モデルにおける微小血管リモデリングの評価を行った。圧負荷心不全モデルにおいては、対照群と比較して微小血管同士の吻合や架橋構造の増加を認め、心肥大とともに微小血管がリモデリングを起こしている様子を捉えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臓器透明化技術および臓器ホールマウント染色を用いて、臓器全体・全層における三次元血管イメージングを確立することに成功した。特に血管内皮細胞染色を用いた、臓器全層における三次元微小血管イメージングは過去に報告がなく、特筆すべき成果であると考えられた。また蛍光タンパクによる標識を用いて心筋細胞および炎症細胞の三次元イメージングを構築することに成功した。先述した三次元微小血管イメージングを用いて、マウス圧負荷心肥大モデルにおいて、微小血管形態の変化、特に血管間の吻合や架橋構造の増加を認め、心肥大に伴って微小血管リモデリングが生じることを発見した。今後、心肥大における微小血管リモデリングと慢性炎症の関連性について、確立した三次元イメージングを用いて検証していく予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
圧負荷心不全モデルにおいては、血管リモデリングには、心筋形態の変化や炎症細胞浸潤などの要素が関係していると予想されるため、現在までに確立した方法を用いて、心肥大における心筋-微小血管-炎症細胞のクロストーク(慢性炎症)について検証していく予定としている。 また肺高血圧症における肺血管新生メカニズムの解明に対して、現在までに構築した三次元病理解析手法を用いて、①モノクロタリン投与、②低酸素飼育、③肺葉切除、④VEGF 受容体拮抗薬(SU5416)投与、⑤Alk1 ヘテロ欠損マウスなどのマウス肺高血圧モデルを作成し、それぞれの血管形態の変化や「慢性炎症」の実態を捉え、肺高血圧症におけるVEGF 発現や血管新生の意義、モデル間の類似性と相違点などを検証する。各動物モデルの特性を明確に描出することで、今後の病態解明と治療法開発に至適なツールと方向性を明らかとする。
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Research Products
(2 results)