2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of sense of object ownership
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17J05236
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐々木 恭志郎 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 所有感 / 行為主体感 / 感情 / 物体認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,モノへ抱く所有感がどのような仕組みで形成されるかを明らかにすることである。本年度は,モノの所有感の形成に関わる認知的要因の検討およびモノの所有感の測定方法の開発に従事した。以下に詳細に記載する。 (1) モノの所有感形成における選好の役割:選好がモノの所有感にどのような影響を与えるかを検討した。実験の結果,対象への選好とモノの所有感には有意な相関が見られた。また,選好と行為主体感は独立的にモノの所有感に影響を与えることを示した。これらの結果は,選好はモノと自身を結びつける役割を担っており,モノへの所有感を生み出すことを示している。 (2) モノの同定認知における位置情報の役割:自己のモノと認識する初期段階で,モノを同定するプロセスは重要であると考えた。そこで,モノの同定認知にどのような情報が利用されているかを検討した。複数の実験の結果,モノの位置情報 (とりわけ網膜位置情報) がモノの同定に利用されていることが判明した。この結果は,初期視覚処理がモノの同定に重要な役割を担っていることを示している。 (3) 所有感の尺度の開発:Walasak et al (2015) はモノの所有感に関する尺度を開発した。この尺度は9項目の質問で構成されており,2つの主成分に分けられる。モノへの所有感を複数の側面から捉える上で有益であると考え,日本語版のモノの所有感尺度の開発を試みた。すでに日本語訳,著者へのバックトランスレーションの確認などを終えた。現在,信頼性および妥当性を確認するために900名からデータ取得を試みている。 関連する成果は国内外の学会にて発表された。また,(1)の研究については査読コメントへの対応中である。他の2つの研究についても,まとまり次第査読付き学術誌に投稿する予定である。また,関連研究について査読付き雑誌に2本の論文が掲載され,さらに4件の賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所有感の形成メカニズムの際に,キーポイントとして考えられる感情処理についても研究が進んでおり,関連研究については順調に国内外の査読付き雑誌に論文が掲載された。これらを鑑みて,期待通りに研究が進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り,文化差および個人差研究を行う。
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Research Products
(22 results)