2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J05431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 莉沙 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 楕円フーリエ記述子 / セミランドマーク法 / ゲノミック予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
「背景」作物の輪郭形状は消費者の嗜好性、輸送コスト、加工コスト等の観点から重要な育種対象となっている。輪郭の定量化手法として代表的なものに楕円フーリエ記述子を用いる方法とセミランドマーク法がある。この2つの手法は向きと大きさの基準化と定量化手法という2つの因子が違っているため、手法比較して考察を行うことがやや難しかった。そこで向きと大きさの基準化を3通り行い、基準化された輪郭を2通りの手法で定量化し、6通りの定量化された輪郭をそれぞれ2通りの予測手法でゲノムワイドマーカーから輪郭形状の予測を行った。 「方法」ソルガムの遺伝資源約300系統について、1系統につき10粒ずつ、胚側と胚と直交する側からみた輪郭の座標情報を収集した。向きとサイズの基準化は、(1)一般化プロクラステス解析、(2)重心と生物学的標識点をもとにした基準化、(3)楕円をあてはめて長軸を合わせる基準化の3手法使った。輪郭の定量化手法としては、(1)楕円フーリエ解析、(2)擬似標識点500点の座標を直接用いる方法の2手法使った。 SNPから形状評価値を予測するモデルを線形のGBLUPと非線形のガウスカーネル回帰の2手法を用いて構築した。最後に、計12組の手法の組合せについて予測精度の評価・比較を行った。 「結果」全ての場合においてGBLUPがガウスカーネル回帰よりも高精度であった。また、全ての場合において楕円フーリエ解析が疑似標識点の座標を直接用いる方法より高い精度を示した。さらに、向きとサイズの基準化では、胚側についてはプロクラステス解析、胚と直交する側については楕円の長軸をもとにした基準化の精度が高かった。以上、作物の器官形状のゲノミック予測では、基準化・定量化・予測のための手法の違いが精度に影響する可能性が示され、最適な手法の組合せを経験的に検討することの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
複数の定量化手法を組み合わせて、最適な定量化手法を見出すことができた。また、この解析を通してそれぞれの定量化手法の癖を理解することができたため、今後の輪郭形状の解析に大いに活かせる成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
作物形態の定量化を行う上で輪郭だけでなく色や模様、面積等の定量化を行うことも重要であると判断した。また、既存のゲノムと形質の関連の解析手法は多形質を扱うことをうまく想定できていないものも多いため、ゲノムとの関連を解析する手法の開発も同時に行う必要がある。 また、ダイズの遺伝資源を撮影できることとなったのでダイズの輪郭形状の解析を行う予定である。
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[Presentation] 輪郭形状のゲノミック予測のための定量化手法の比較2018
Author(s)
坂本 莉沙, 鐘ケ江 弘美, 野下 浩司, 石森 元幸, 小林 正明, 高梨 秀樹,永野 惇, 徳永 毅, 佐塚 隆志, 矢野 健太郎, 堤 伸浩, 岩田 洋佳
Organizer
日本育種学会第133回講演会
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[Presentation] QTL解析に価値ある画像解析:ソルガムRIL集団の葉形態を例に2017
Author(s)
坂本 莉沙, 藤本 優, 高梨 秀樹, 鐘ケ江 弘美, 野下 浩司, 小林 正明 , 矢野 健太郎 , 七条 光年 , 小童谷 利恵 , 大西 紀和 , 堤 伸浩 , 坂本 亘 , 岩田 洋佳
Organizer
日本育種学会第132回講演会