2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J05527
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 昇光 九州大学, 人間環境学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 学校運営協議会 / コミュニティ・スクール / 教育委員会事務局 / 教育政策 / ガバナンス / 受益圏・受苦圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、学校運営協議会を自治体内の全公立小・中学校に設置している、自治体においてフィールドワークを1年間継続して実施した。 ①学校運営協議会制度の運用方針及び学校運営協議会への教育委員会事務局の関与について、教育委員会事務局への訪問調査を行い、教育長及び事務局職員にインタビューを行うとともに、自治体内各校の中から選定した学校運営協議会での参与観察を実施し、記録作成・資料収集を行った。 ②当該自治体が発行している諸資料を収集し、学校運営協議会制度の導入及び運用方針の策定プロセスについて分析を行った。以上2つの作業を通して導き出された知見をまとめ、全国学会誌に投稿することができた。今後は、自治体関係者、学校運営協議会関係者のインタビュー調査範囲を拡大させていき、引き続き、参与観察記録の作成、資料収集及び分析を進め、知見の整理に努めていく予定である。 ③そして、計量テキスト分析の手法を導入することによって、受益圏・受苦圏について考察していくための基礎的作業として、教師が捉える「地域」の概念の分析を試みた。分析した結果、教師が捉えている「地域」の概念を示すとともに、学校―地域関係に関連した教育政策への認識、課題意識などについて示唆を得ることができた。その成果は、地方学会にて報告し、その後は所属先の研究紀要に掲載されるに至っている。 以上の取組を通して、自治体教育政策としての学校運営協議会制度の運用に伴う受益圏・受苦圏の考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、教育行政学はもとより、他分野の知見を援用するため、研究レビューに時間を要する可能性があり、実地調査に速やかに移行できるかが、研究の進捗を左右するポイントとなっていた。しかしながら、研究枠組みを構築していく中で、調査事例及び対象の選定が進捗し、初年度のはじめから実地調査が可能となった。現在では、複数自治体の資料調査を進めているところであり、比較事例分析を行うことも視野に入れており、研究に進捗が見られる。また、全国学会誌への論文投稿、学会発表も行うなど、1年目から積極的な取り組みが出来ている。特に、受益圏・受苦圏について考察していくにあたり、教育行政に焦点をあてた研究が予定通り1年目から実施できており、教育長をはじめとした教育委員会事務局職員にインタビュー調査をするなど、順調にデータを蓄積しつつある。 また、探索的ではあるものの、計量テキスト分析の手法を取り入れるなど、分析手法の多角化を図っている。新たな分析手法を取り入れることで、本研究開始時において課題として捉えていた知見の一般化に向けて、試行錯誤している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は調査対象を教育行政に限定せずに、コミュニティ・スクール関係者へのインタビュー、保護者や地域住民へのインタビュー調査も行いながら、学校運営協議会の参与観察を継続し、精緻な事例分析を行う。最終的にはこれまで収集してきたデータを踏まえた考察を行い、学会発表、論文投稿、博士論文執筆へと結実させたい。
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