2017 Fiscal Year Annual Research Report
Spatiotemporal variability of heat transfer in plant-environment systems: measurements and numerical simulation
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17J05569
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 建介 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 時空間変動 / 熱収支 / 光合成 / 蒸散 / 微気象 / 温室 / 環境調節 / 防霜対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,作物生産を左右する植物-環境系の輸送現象(熱収支,光合成,蒸散等)の時空間変動を,実測・数理モデル・数値シミュレーションを駆使して評価し,作物の安定生産および収量増加に貢献することである. この目的を達成するため,本年度においては,熱収支,光合成速度,蒸散速度の多点連続評価を行い,その時空間変動の評価を試みた.熱収支,光合成,蒸散の測定には非常に高価な装置を要するため,実際の作物生産場において熱収支等の多点連続の実測評価は現状不可能である.そのため本研究では,数理モデルを用いて,実測が比較的容易な植物周辺の微気象要素(光,温度,湿度,風,CO2濃度等)の多点連続測定から熱収支,光合成,蒸散の時空間変動を評価した. 熱収支に関しては,夜間のチャ園において解析を行い,チャ園の防霜ファンの熱的効果の評価に応用した.また,夜間放射冷却時のチャ園熱輸送現象の数値シミュレーションを行った.来年度はこれに加え,防霜ファン稼働時の数値シミュレーションを行う. 光合成および蒸散に関しては,イチゴ温室において解析を行い,温室内の様々な環境調節装置(CO2施用,暖房,換気等)の効果の評価に応用した.それぞれの生産場の代表点における熱収支,光合成,蒸散の実測値とモデルによる推定値の変化は概ね一致したが,イチゴ温室においては,光合成の昼寝現象(光合成が活発な日中に光合成速度が低下する現象)が確認され,既存モデルではこの現象を再現することができなかった.したがって,来年度は,昼寝現象の原因と考えられる植物の水分状態や光合成産物(糖)の変化を計測し,昼寝現象を考慮したモデル作成を試みる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である作物生産場における熱輸送現象の時空間変動の評価だけではなく,光合成および蒸散の時空間変動の評価を同時に行なえたため,計画以上に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,露地圃場(チャ園)と温室(イチゴハウス)において以下の課題を行う. 【露地圃場(チャ園)】 チャ園の防霜ファン稼働時における熱輸送現象の数値シミュレーションを行い,防霜ファンの稼働方法(首振時間,首振角度等)を再検討する. 【温室(イチゴハウス)】 イチゴ葉の昼寝現象を,植物の水分状態や光合成産物(糖)の計測を通してモデル化し,光合成および蒸散の時空間変動の正確な評価を可能にする.
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Research Products
(4 results)