2017 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞老化におけるヒストンH3K27脱メチル化酵素UTXの機能解析
Project/Area Number |
17J05696
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
世良 康如 広島大学, 医歯薬保健学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 組織幹細胞老化 / 造血幹細胞 / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / UTX |
Outline of Annual Research Achievements |
個体レベルの老化は、組織幹細胞の多能性や自己複製脳の機能低下、すなわち幹細胞老化が重要な役割を担っている。造血幹細胞に代表される組織幹細胞の老化には、ヒストン修飾などのエピジェネティックな遺伝子発現制御機構が重要な役割を果たすことが示されているされている。我々が作製した、ヒストン脱メチル化酵素UTXの全身性コンディショナルノックアウト(cKO)マウスの造血幹細胞は、これまでの研究から、遺伝学的にも細胞生物学的にも老化状態にあることが示されている。また、野生型の老化造血幹細胞においてもUTXの発現減少が観察されている。 そこで、本研究は、(1)UTX欠失による個体レベ ルでの造血幹細胞の老化機構の詳細の解明、(2)老化造血幹細胞におけるUTXの発現回復による老化の回復の検証、(3)UTX欠失による幹細胞老化は組織普遍的な現象なのかどうかの検証、を目的とした。 本年度はUTXの発現回復により、老化表現型からの回復の可能性を検証する目的で、野生型の老化造血幹細胞にレトロウィルスによってUTXを導入し、競合的骨髄移植実験を行った。その結果、UTXを導入しなかったコントロール群においては老化造血幹細胞の生着はほとんど認められなかったのに対し、UTXを導入した老化造血幹細胞の一部では一定の生着が認められ、ヒストンメチル化レベルは有意に減少していた。また生着率とUTXの発現レベルには相関傾向が観察された。これらの結果から、老化造血幹細胞に対するUTXの導入により、老化状態が改善する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画として、① 老化造血幹細胞へのUTX導入による老化の表現型回復の検討、② 造血幹細胞におけるUTXの標的遺伝子の同定、の2点を計画していた。①に関しては概要で述べた通り一定の結果を得ることができた。②に関しては、ChIP解析に用いる抗体の検討、造血幹細胞を用いたChIP解析の系の立ち上げは完了したが、標的遺伝子の同定には現在までに至っていない。原因として、感染症対策のため、動物実験施設が数か月にわたり使用困難となるアクシデントが発生したことがあげられる。マウスの系の立ち上げは現在までに完了しており、順次実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにUTX cKOマウスの系の立ち上げを完了し、ChIP解析を行う抗体等の条件検討も終えている。UTX cKOマウスよりを単離した造血幹細胞に対して、ChIP gradeの抗体を用いてUTX標的遺伝子の同定を試みる。また、造血組織以外の骨や皮膚といった組織特異的CreマウスとUTX cKOマウスの掛け合わせマウスも順次作製中であり、各々の組織における骨粗しょう症、脱毛といった老化状態の検討を行う予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Acquired expression of CblQ367P in mice induces dysplastic myelopoiesis mimicking chronic myelomonocytic leukemia.2017
Author(s)
Nakata Y, Ueda T, Nagamachi A, Yamasaki N, Ikeda K, Sera Y, Takubo K, Kanai A, Oda H, Sanada M, Ogawa S, Tsuji K, Ebihara Y, Wolff L, Honda Z, Suda T, Inaba T, and Honda H.
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Journal Title
Blood
Volume: 129
Pages: 2148-2160
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] UTX, a demethylase for histone H3K27, plays critical roles in hematopoiesis by aging-associated gene regulation.2018
Author(s)
Yasuyuki Sera, Takeshi Ueda, Yuichiro Nakata, Kenichiro Ikeda, Norimasa Yamasaki, Hideaki Oda, Akiko Nagamachi, Akinori Kanai, Toshio Suda, Keiyo Takubo and Hiroaki Honda
Organizer
The 2nd International Symposium of the Network-type Joint Usage/Research Center for Radio Disaster Medical Science
Int'l Joint Research
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