2018 Fiscal Year Annual Research Report
シリレン/シレンの新規発生法の開発と遷移金属触媒を用いた多成分環化反応への応用
Project/Area Number |
17J05734
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 郁雄 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 有機ケイ素化合物 / 遷移金属触媒 / シリレノイド / 環化反応 / 合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
反応性ケイ素化学種「シリレン」を活用した含ケイ素有機化合物の新規合成法開発を目的として、シリレンの新規発生法、および有効な触媒系や基質構造等の探索に取り組んでいる。平成30年度は、交付申請書研究実施計画に記載した、研究項目②「シリレンの新規導入反応に基づく精密合成手法の開発」に取り組んだ。前年度に見出した、ロジウムシリレノイド錯体の形成と1,6-エンインとの反応で得た知見を基に、分子内に2種類の不飽和官能基を配した基質とシリルボランのロジウム触媒反応を検討した。その結果、分子内に1,3-ジエン部位とアルキン部位を有するノナ-1,3-ジエン-8-イン誘導体を基質として用いることで、1,3-ジエン、アルキン、シリレンの[4+2+1]環化付加反応が進行し、含ケイ素7員環化合物が効率よく生成することを見出した。シリレンと不飽和分子の環化付加反応により、含ケイ素7員環カルボサイクルを合成した例はなく、本研究成果はシリレンの化学における新展開といえる。また、前年度に見出した1,6-エンインとシリルボランの[2+2+1]環化付加反応についてさらに研究を進め、本手法が医薬品開発において注目を集めつつある含ケイ素アミノ酸の効率的合成へ応用できることを明らかとした。以上の成果は、従来法では合成が困難な含ケイ素環状化合物の効率的創出を実現するものであり、含ケイ素機能性材料や含ケイ素医薬品の開発に資すると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,3-ジエン、アルキン、シリレンの[4+2+1]環化反応による含ケイ素7員環の構築を達成し、ロジウムシリレノイドの形成を基軸とした触媒反応が、多様な不飽和分子との環形成反応へ応用可能な汎用性の高い手法になり得ることを明らかとすることができた。エナンチオ選択性の制御や分子間三成分環化反応の開発には至らなかったものの、次年度の研究展開に資する基盤的知見を得たことから、研究は当初の計画通り進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
ロジウムシリレノイドの形成に基づく触媒的環形成反応の開発をさらに推進する。触媒系の改良とともに適用可能な基質構造の拡張をはかり、本手法を含ケイ素環状化合物合成の新概念として確立したい。また、同様の触媒素過程に基づいて、炭素-ケイ素二重結合を有する化学種である「シレン」の導入反応へ研究を展開する。
|
Research Products
(5 results)