2018 Fiscal Year Annual Research Report
Cas9タンパク質の改変による新規ゲノム編集ツールの創出
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17J05841
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 清一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | CRISPR-Cas |
Outline of Annual Research Achievements |
ジフテリア菌に由来するCas9によるRNA依存的なDNA切断機構を解明するため、Cas9-RNA-DNA複合体のX線結晶構造解析さらに立体構造に基づくゲノム編集ツールの開発を目指して、研究を進めた。当初の計画通り、Cas9やガイド鎖の変異体を作製してCas9のDNA切断活性が向上するかどうか調べた。Cas9の変異体を40個ほど作製し、発現・精製したのちスクリーニングを行ったが活性向上変異体を得ることはできなかった。その一方でガイド鎖のガイド長を20から22塩基長に変更したところin vitroにおけるDNA切断活性が向上した。ガイド長を変更したガイドRNAを用いて、マウス受精卵の内在の遺伝子を標的としたゲノム編集実験をおこなった。ガイド長を22および24塩基長にした条件においてゲノム編集がおきたことを確認した。これらの結果から、ジフテリア由来のCas9をもちいたゲノム編集ツールの開発が進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究員は、ジフテリア菌に由来するCas9によるRNA依存的なDNA切断機構を解明するため、Cas9-RNA-DNA複合体のX線結晶構造解析さらに立体構造に基づくゲノム編集ツールの開発を目指して、研究を進めた。当初の計画通り、Cas9やガイド鎖の変異体を作製してCas9のDNA切断活性が向上するかどうか調べた。Cas9の変異体を40個ほど作製し、発現・精製したのちスクリーニングを行ったが活性向上変異体を得ることはできなかった。その一方でガイド鎖のガイド長を20から22塩基長に変更したところin vitroにおけるDNA切断活性が向上した。ガイド長を変更したガイドRNAを用いて、マウス受精卵の内在の遺伝子を標的としたゲノム編集実験をおこなった。ガイド長を22および24塩基長にした条件においてゲノム編集がおきたことを確認した。これらの結果から、ジフテリア由来のCas9をもちいたゲノム編集ツールの開発が進んだと言える。したがって、期待通りに研究を進展させたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
CdCas9の構造情報をもとに、Cas9やガイド鎖RNAを改変し、ゲノム編集ツールへの応用を目指す。CdCas9は予想外にAリッチなPAMを認識するこ とが明らかになった。そこで本年度はCdCas9の構造情報を元にCas9オルソログのPAM改変をおこないAリッチなPAMを認識するCas9改変体を創出 する。改変したCas9およびガイド鎖RNAは、in vitroにおけるDNA切断活性で評価する。改変したCas9およびガイド鎖RNAをヒト細胞に共発現さ せ、ゲノム編集活性およびゲノム編集の精度を評価する。評価のアッセイ系はすでに確立されており、この技術をもつ共同研究先のFeng Zhang 博士(米MIT)と連携して行う。
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