2017 Fiscal Year Annual Research Report
乳がんにおけるがん抑制遺伝子RBの機能とその作用機構の探索
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17J06037
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西本 裕希 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | RB / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
がん抑制遺伝子RBは、細胞周期におけるG1/S期を制御すると知られている。また、近年、乳がんにおいて、未分化性の獲得やホルモン治療抵抗性の獲得などRBの細胞周期の制御とは異なる機能に注目が集まっている。我々の研究室では、新たに2次元培養上における乳腺上皮細胞および乳がん細胞においてRBの不活性化細胞が周りの細胞に押し出されることを見出し、近年注目が集まっている正常上皮とがん細胞の境界面において細胞の増殖能や適応度に応じ生存を争う細胞競合という現象に関与している可能性が示唆された。そこで、本研究では、①乳腺上皮細胞および乳がん細胞層からRB不活性化細胞が押し出される分子機構の解明②3次元培養モデルおよびin vivoモデルを作成し、RBの不活性化による細胞競合現象の詳細な検討を行うことを目的とした。 本年度は、①RB不活性化細胞が周りの細胞から排除される分子機構を探索するためにp53欠損マウス乳腺上皮細胞を用い網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、RBの不活性化により細胞間接着に関与する遺伝子群の発現が低下することを見出し、細胞競合に関与する可能性が示唆された。②新規細胞競合モデルとして、p53-/-; Rbfl/flマウスの乳腺上皮細胞を、マトリジェルおよびコラーゲン内にて培養し、球状の三次元器官構造を安定的に形成させるモデルの構築を行った。このように調整した細胞に、Cre recombinase-GFPアデノウイルスを希釈して、モザイク上に感染させることに成功した。今後これらの解析を行うことにより、これまで明らかにされていなかった細胞競合の新たな側面が見える可能性が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたRB不活性化による細胞競合に関与する遺伝子群の同定、および、3次元培養モデルの構築を達成し、今後の研究に対し更なる進展が期待できることを理由に判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに同定した標的遺伝子に対するノックアウト実験あるいは阻害剤を用いRBによる細胞競合の分子機構の解明を行う。また、3次元培養モデルにおいてBrdU, F-actin, p16, p21, 細胞死マーカーあるいはがん幹細胞マーカーなど、細胞競合観察で頻用する免疫蛍光染色・コンフォーカル顕微鏡撮影を用い詳細に解析する。
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