2018 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞由来エキソソームの体内動態制御と免疫活性化能増強による癌ワクチン療法開発
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17J06240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 明宏 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | エキソソーム / 癌ワクチン / アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
エキソソームは、細胞から分泌される直径100nm程度のタンパク質や核酸を内包した細胞間輸送キャリアであり、ワクチン応用が期待される。中でも、樹状細胞由来エキソソーム(DC-Exo)は、免疫活性化能や抗原提示に関わる分子を発現しているとともに、がん抗原の搭載も可能であることから、これを利用したがんワクチン療法の開発が期待されている。今年度は、強力な免疫活性化能を有するDC-Exoの調製法を確立し、これを利用した抗腫瘍免疫応答の誘導に基づく、がんワクチン療法の有用性を検証した。リポ多糖およびインターフェロンγで刺激したマウス樹状細胞株DC2.4細胞に、モデル抗原として卵白アルブミン(OVA)を添加し、超遠心法によりDC-Exoを回収した。DC-ExoへのOVAの搭載を確認した。次にその免疫活性化能を、マクロファージ様細胞株RAW264.7細胞およびDC2.4細胞を用いて評価した。DC-Exo添加により両細胞は活性化され、TNF-αをはじめとした種々のサイトカイン産生を強力に誘導した。また、DC-Exoの添加により免疫抑制型であるM2型に分化させたRAW264.7細胞を免疫活性化型であるM1へと誘導可能であった。DC-Exoを添加することでDC2.4とOVA反応性T細胞株CD8OVA.1.3の共培養時に、産生されるIL-2は有意に増大した。また、DC-Exo添加によりCD8OVA1.3単独でもIL-2が産生されることを確認した。以上の結果より、DCから回収したDC-Exoは強力な免疫活性化能を有しており、T細胞への直接的な抗原提示、およびDCを介した間接的な抗原提示に基づいた抗腫瘍免疫の誘導が可能であることから、効果的ながんワクチン製剤となりうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
想定よりも免疫活性化能が100倍以上高いDC-Exoの調製に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は調製したDC-Exoの治療効果を動物モデルで評価する
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Research Products
(1 results)