2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of novel juvenile hormone signaling that has triggered termite social evolution
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17J06352
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| Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
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Principal Investigator |
増岡 裕大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 特別研究員(PD)
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| Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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| Keywords | シロアリ / 兵隊 / 幼若ホルモン / エクダイソン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではシロアリの社会性進化を促した、兵隊の獲得機構の解明を目的とする。兵隊への分化には職蟻体内での幼若ホルモン（JH）量の上昇が引き金となる。実際に、JH受容体遺伝子のノックダウンは兵隊分化を抑制することも知られている。また、カーストを持たない近縁種（キゴキブリ）では人為的なJH類似体の処理が加齢脱皮を引き起こすこと、そしてこの加齢脱皮がJH受容体によって制御されることも知られている。そのため、JHやその受容体への応答性変化が、シロアリにおいて兵隊分化システムが進化した主要因であったと考えられる。そこで、29年度はJHによって制御される遺伝子群を特定するため、2つの比較群においてRNA-seq解析による網羅的な発現比較を行った。一つはJH類似体の処理群とコントロール群における発現解析をネバダオオシロアリ及びキゴキブリにて行い、シロアリ特異的なJHの下流遺伝子を探索した。また、JH受容体遺伝子であるMetのRNAiによるノックダウン個体を用いたRNA-seq解析により、JHシグナルによって発現が制御される遺伝子群の探索を行った。これらの解析により得られた候補遺伝子群についてRNAi法による機能解析を行い、実際に兵隊分化に影響を与える遺伝子群の探索に成功した。また、脱皮にかかわるエクダイソンの関連遺伝子に着目した解析からも、JH依存的に発現し、兵隊分化を司る重要遺伝子の特定にも成功している。これらの成果は、兵隊進化を司るJHの下流シグナルを探る上で重要な足がかりになると期待される。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、シロアリの兵隊進化を促したと考えられる、幼若ホルモンの下流因子やその遺伝的な変化の探索を目的とする。初年度であった29年度は、まずRNA-seq解析を用いた網羅的な遺伝子発現解析により、シロアリにおいてJHやその受容体の下流で働くと考えられる遺伝子群の特定に成功している。今後はこれらの遺伝子を糸口に、シロアリの兵隊分化時に働くJHの下流シグナル経路の全容解明を目指す予定である。具体的には、得られた候補遺伝子群周辺の非翻訳領域を詳細に解析することにより、JHやその受容体による転写調節機構にアプローチする。また、カーストを持たない近縁種（キゴキブリ）との比較により、兵隊の進化を促した分子機構についても考察を試みる。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析により、JHの制御下で兵隊分化を司る遺伝子群が得られているが、未だJH下流シグナルにおける位置関係は不明である。そこで、これら遺伝子群の非翻訳領域などの周辺配列を詳細に解析し、培養細胞系におけるレポーターアッセイを用いることにより、JH受容体（Met）との相互関係の解明を試みる。また一方で、エクダイソン関連遺伝についても兵隊分化にかかわる転写因子を見出しているため、この遺伝子に注目したRNA-seq等の解析により、その下流で働く遺伝子群の特定も並行して進める予定である。
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