2018 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的解析を用いた、KSHVとEBVの溶解感染機構の比較と解明
Project/Area Number |
17J06368
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉本 温子 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2021-03-31
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Keywords | カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス / KSHV / 溶解感染 / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではKSHVの溶解感染を包括的に理解することを最終目標としている。そのためにはまず、KSHV溶解感染に重要である因子を見いだす必要がある。そこで本研究では、最終目標を実現するために、KSHVの溶解感染に関わる因子についてプロテオーム解析を用いて網羅的に探索した上で、分子生物学手法を用いて溶解感染機構の詳細について明らかにし、溶解感染に重要な役割を果たしているウイルス由来因子または宿主由来因子を抽出することを目的としている。本研究が成功した際には、溶解感染阻害に基づいたKSHV治療薬開発に有効な薬剤ターゲットを示唆することが可能となる。 前年度の研究計画においてKSHVについてプロテオーム解析を行い、ユビキチン様タンパク質(UBLs)であるFAT10に関連するタンパク群が顕著に発現増加することを発見した。FAT10はKSHVの溶解感染に重要な宿主因子であると考え、本年度はFAT10およびFAT10関連タンパク質の解析を行った。FAT10をノックアウトすることによってKSHVのウイルス粒子形成が顕著に減少することから、FAT10はKSHVの粒子形成に関わる可能性が考えられる。 また本年度はさらなる宿主因子探索のためにKSHV感染細胞の核を抽出し、リン酸化プロテオーム解析を行った。その結果、KSHV溶解感染においてDNA損傷応答に関わる因子が活性化していることが示唆された。さらに、EBV感染細胞についても同様にプロテオーム解析を行った。今後はEBVについての解析データも活用し、溶解感染に重要な因子をピックアップしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はプロテオーム解析の結果、溶解感染に関わるウイルス由来因子をピックアップして解析を行う予定であったが、溶解感染に関わる非常に有望な宿主因子を発見したためそちらの解析を主に行い、その結果発見した宿主因子は溶解感染に深く関わることを世界で初めて発見した。一方ウイルス由来因子の探索も順調に行っており、来年度以降でEBVの解析で得られたデータで比較することによって有望なウイルス由来因子を同定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のプロテオーム解析得られたKSHVとEBVの結果を解析し、ホモログであるウイルスタンパク質の発現パターンを比較する。同じγヘルペスウイルスに属するKSHVとEBVでは、ホモログといわれているタンパク質は基本的に同じ機能保つことが推測されているが、近年異なった機能を持つものがいることも示唆されている。発現パターンを比較することにより、KSHVとEBVで発現のタイミングが異なる因子をピックアップする。KSHVに独自の発現パターンをもつウイルスタンパク質に関して、BAC(Bacterial Artificial Chromosome)法を用いて欠損ウイルスを作成する。作製した欠損ウイルスを細胞に感染させ、溶解感染を誘導する。欠損ウイルス感染細胞におけるウイルス複製、転写、ウイルス産生等への影響を生化学手法および遺伝子学的手法を用いて検討する。同時に野生型ウイルス感染細胞と比較する。またEBVで同様の実験を行うことで、ホモログと言われているタンパク質の機能を評価する。
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Research Products
(2 results)