2019 Fiscal Year Annual Research Report
Three-dimensional control of polynuclear metal centers by metallo-supramolecular complex with "ligand space"
Project/Area Number |
17J06579
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 健一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 金属錯体 / キラリティ / 不斉触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度より、配位子空間の構築に用いた金属錯体のキラリティに着眼点を移し、研究を行っている。一般に、キラルな金属錯体は不斉触媒や光学材料として有用であり、近年では設計の幅を広げるため、アキラルな配位子で構成され金属中心がキラリティを持つ錯体が注目されている。しかし、そのような錯体は八面体型のものがほとんどであり、四面体型錯体は、立体反転に不安定であることが多く金属中心キラリティの利用が難しかった。 昨年度には、配位力が強く剛直な立体構造を持つ三座配位子を用いて、立体反転に対して安定な四面体型亜鉛錯体を合成することに成功した。本年度はこの四面体型亜鉛錯体について、(1)エナンチオ選択的合成における選択性と生成物純度の向上、(2)立体反転に対する安定性の詳細な検討、(3)不斉触媒反応への応用におけるエナンチオ選択性の向上、を行った。 (1)キラル配位子との反応条件およびキラル配位子を取り除く過程を改良し、収率72%、エナンチオ純度99% ee以上でキラル四面体型亜鉛錯体を単離することに成功した。 (2)キラル四面体型亜鉛錯体をベンゼン中70 °Cで1週間加熱を行ったところ、エナンチオマー過剰率は99.2%と高く保たれた。これは一般的な四面体型亜鉛錯体が数分以内に立体反転の平衡に到達することと比べると非常に高い安定性である。 (3)キラル四面体型亜鉛錯体がLewis酸として働き、不斉oxa-Diels-Alder反応を触媒することを確かめた。最大収率100%、88% eeで生成物が得られた。 以上より本研究は、アキラル配位子で構成されるキラル四面体型金属錯体を立体反転に対して安定化し、選択的な不斉合成を行った世界初の例である。更に、不斉触媒反応への応用例も示した。これまで立体反転のために避けられてきた四面体型錯体が利用可能と分かったことで、キラル分子の化学に新たな扉が開かれたことになる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)