2017 Fiscal Year Annual Research Report
新規マウス肝再生モデルによる肝前駆細胞から肝細胞への分化過程の解析
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17J06605
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 みなみ 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 肝前駆細胞 / 胆管上皮細胞 / 肝再生 / アデノ随伴ウイルス / single-cell RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
重篤あるいは慢性的な障害を受けた肝臓では、胆管上皮細胞に由来する肝前駆細胞が活性化され、これが肝細胞へと分化することで肝再生が担われる。これまで、こうした肝再生 過程の解析に有用なマウスモデルが存在せず、分子機構の解明にまで至っていなかった。 これまでに、細胞ストレス応答シグナル経路のコアとなるがん抑制遺伝子産物に注目し、これをアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)により生体マウスの肝細胞で強制発現させることで、肝前駆細胞から肝細胞への分化を誘導可能な新たなマウスモデルの樹立に成功していた。本研究では、このAAVによる強制発現マウス肝障害・再生モデルを用いて、肝前駆細胞から肝細胞への分化に関わる分子機構の解明に取り組むことを目的としている。 本年度はそのモデルにおいて、胆管上皮細胞由来肝細胞が出現する頻度の定量評価・出現メカニズムの解析を進めた。その結果、すべての胆管上皮細胞が肝細胞に分化するわけでなく、その中の一部(亜集団)のみが肝細胞へと分化することを示唆する結果を得ている。一方で、想定以上に胆管上皮細胞由来の肝細胞の出現する頻度は想定以上に少ないことも明らかにした。これらの結果を受け、本研究計画の目的である「分化過程の解析」をより確実に遂行するために、まずは胆管上皮細胞に焦点を絞り、これをシングルセルレベルで解析することで、肝細胞へ分化しうる胆管上皮細胞の一部の集団を特定するという新たな研究戦略に切り替えた。今年度中に、すでにサンプルをsingle-cell RNA-seq解析に供してデータの取得を完了した。今後、バイオインフォテクス的な解析により、肝細胞へ分化転換する胆管の亜集団の特定およびその分化過程の動態を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、胆管上皮細胞由来肝細胞が出現する頻度の定量評価・出現メカニズムの解析を進めた。その結果、すべての胆管上皮細胞が肝細胞に分化するわけでなく、その中の一部(亜集団)のみが肝細胞へと分化することを示唆する結果を得ている。一方で、想定以上に胆管上皮細胞由来の肝細胞の出現する頻度は想定以上に少ないことも明らかにした。これらの結果を受け、本研究計画の目的である「分化過程の解析」をより確実に遂行するために、まずは胆管上皮細胞に焦点を絞り、これをシングルセルレベルで解析することで、肝細胞へ分化しうる胆管上皮細胞の一部の集団を特定するという新たな研究戦略に切り替えた。予定通り今年度中に、これらのサンプルをsingle-cell RNA-seq解析に供してデータの取得を完了した。 肝前駆細胞から肝細胞への分化を誘導可能な新たなマウスモデルの肝臓中で、どういった変化が生じているかについての解析も、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかにした、肝前駆細胞から肝細胞への分化を誘導可能な新たなマウスモデルの肝臓中での変化について、検証はまだ十分であるとは言えないため、他のフェノタイプの解析とともに来年度も引き続き検討を進めていきたいと考えている。 今年度中に、すでにサンプルをsingle-cell RNA-seq解析に供してデータの取得を完了した。今後、バイオインフォテクス的な解析により、肝細胞へ分化転換する胆管の亜集団の特定およびその分化過程の動態を明らかにする。さらに分化過程の解析からその制御に関わる分子機構を理解することを目指す。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Testis-Specific Histone Variant H3t Gene Is Essential for Entry into Spermatogenesis2017
Author(s)
Ueda J, Harada A, Urahama T, Machida S, Maehara K, Hada M, Makino Y, Nogami J, Horikoshi N, Osakabe A, Taguchi H, Tanaka H, Tachiwana H, Yao T, Yamada M, Iwamoto T, Isotani A, Ikawa M, Tachibana T, Okada Y, Kimura H, Ohkawa Y, Kurumizaka H, Yamagata K.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 18
Pages: 593~600
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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