2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of higher order F-actin structures in bleb-driven amoeboid locomotion using a reconstituted system
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17J06827
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西上 幸範 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | アメーバ運動 / ブレブ / 人工細胞 / アクチン / ミオシン / アクチン結合タンパク質 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
アメーバ運動は接着性真核細胞が一般に行う運動様式であり、原生動物アメーバの移動のみならず多細胞生物の発生過程や、外傷の修復、免疫細胞の移動、癌の転移、寄生性アメーバの宿主内での移動など多くの生命現象において重要である。アメーバ運動機構の一つとして近年ブレブ駆動型アメーバ運動が発見された。この運動は、三次元マトリックスや組織内を移動する細胞でしばしば観察され、癌細胞や始原生殖細胞、骨格筋細胞の前駆細胞である衛星細胞等の移動において重要であるという報告がなされている。この過程においてアクチン高次構造が重要であることが報告されているが、その本質的なメカニズムの物理化学的理解にはつながっていない。本計画では、ブレブ駆動型アメーバ運動に重要であるアクチン高次構造の役割を物理化学的に理解するために申請者が開発した単純な人工細胞系にアクチン高次構造制御タンパク質を導入し、この高次構造が細胞サイズのタンパク質-複合体の運動性や物性に対して与える影響を解明する。 上記研究目標を実現するために、一年目は研究計画に従い、研究に使用するタンパク質の調製条件の検討、及び人工運動細胞作製条件の検討を行った。数種類の細胞よりアクチン、ミオシン、ミオシン軽鎖リン酸化タンパク質、およびアクチン結合タンパク質を精製し比較検討を行った。その結果、精製量や純度、粘性などの物理化学的性質などを考慮すると、今後の実験には細胞性粘菌由来のタンパク質が有用であることが分かった。そこで、この細胞より使用予定のタンパク質の大量に精製する方法を検討し確立した。これらに加えて、精製したタンパク質を封入したリポソームの作製法も検討し、主要タンパク質を封入したリポソームを作製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は①実験に必要なタンパク質の調製条件の検討②人工運動細胞作製条件の2点である。②の条件検討はさらに進める必要はあるが①②ともに順調に進んでおり、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標であるアクチン高次構造のブレブ駆動型アメーバ運動における役割の物理化学的に理解にむけ、今後は今年度作製した人工細胞の三次元像を取得し、これらの時間変化を詳細に調べる。また、生細胞との比較を行う事で人工細胞から示唆された結果と比較検討する。
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Research Products
(15 results)