2017 Fiscal Year Annual Research Report
非凸型モデルで表現されたシステム同定問題の新解法とその応用に関する研究
Project/Area Number |
17J06921
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒田 大貴 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | システム同定 / 非凸型モデル / 区分的連続システム / スパース推定 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,従来の標準的な最適化戦略で解決不能な「非凸型モデルで表現されたシステム同定問題」に対して,信頼性の高い新解法を確立することを目標にしている. 今年度は,工学の多くの分野で解決が待たれている「大域的連続性が仮定できない区分的連続システム同定問題」に取り組んだ.この問題は,システムの不連続点を観測データから推定する必要があることから非常に困難であり,多くのヒューリスティックな近似解法が提案され続けている. 今年度前半は,システムへの入力信号をその振幅に基づいて並び替えることで,このシステム同定問題が区分的二次最適化問題に帰着されることを明らかにした.さらに,この最適化問題に対する厳密解法を提案し,提案法が不連続点の個数が少ない場合に有効であることを数値実験によって実証している. 今年度後半は,システムが多数の不連続点を有する場合にも有効な解法を確立するために検討を進めた.その結果,非自明な線形変換を新たに開発し,この変換を用いることにより「区分的連続システムの出力信号を並べたベクトルに隠されていたスパース性」が顕在化されることを明らかにしている.さらに,新たに発見されたスパース性を効果的に活用することにより,区分的連続システム同定問題をスパースベクトル推定問題に帰着させることに成功している.スパースベクトル推定問題には既に効果的な解法が数多く開発されているため,本研究成果は「区分的連続システム同定問題に対する高精度かつ効率的解法」に直ちに結実するものであり,数値実験によってもその有効性が示されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,「区分的連続システム同定問題」が区分的二次最適化問題に帰着されることを明らかにし,それを元に厳密解法の構築を試みる予定であった.本年度の研究により,当初の計画に基づく厳密解法の構築だけではなく,「区分的連続システムの出力信号に隠されていたスパース性」を発見し,区分的連続システム同定問題をスパースベクトル推定問題に帰着させることにも成功している.これらの研究成果は,「非凸型モデルで表現されたシステム同定問題」の重要なクラスである「区分的連続システム同定問題」に対して高精度かつ効率的な新解法を与えるものであり,信号処理に関する権威ある国際会議(SampTA2017,ICASSP2018)で報告している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度に提案した解法を元に,「非凸型モデルで表現されたシステム同定問題」に属する別のクラスの未解決問題に対する高信頼な新解法を開発していく.例えば,音声や生体信号などの解析においては,信号のスペクトルが急峻に変化する瞬間を推定することが根本的な課題となっている.この問題に対し,「スペクトルが急峻に変化する信号」に隠されているスパース性を顕在化させる新たな線形変換を設計することを試み,それによってスペクトルの変化を高精度に検知する手法を開発することを目指す.
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Research Products
(5 results)