2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J06932
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清原 孝行 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ボソンサンプリング / 多光子量子干渉 / 伝令付き単一光子源 / 多重化 / シリアルパラレル変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
ボーズ粒子(光子)の多体系をユニタリ変換した出力分布の予測(ボソンサンプリング)は,用いる光子数が数十光子程度で,従来のスーパーコンピュータの計算能力を超える.そのため,複数光子ボソンサンプリングの実現は,量子計算分野において大きな意義がある.本研究では,ハイブリッド型の伝令付き単一光子源とシリアルパラレル変換系を駆使し,10光子ボソンサンプリングの実現を目指す. 平成29年度は,「伝令信号を用いたシリアルパラレル変換」を中心に研究した.本研究により,1台の伝令付き単一光子源から出力した2光子列を時間軸(シリアル)から空間軸(パラレル)に変換する光学スイッチを実現し,その変換効率が53%という結果が得られた.理論検討により,伝令信号を用いない場合の最大効率が50%であることを明らかにし,本研究成果(53%)がそれを超えていることを示した.光学スイッチの透過率を補正すると変換効率は99.6%となることから,理想的な変換に成功したことが分かった(Optics Express 2017).以上の研究成果は,注目論文としてEditor’s Pickに選出された.さらに,FPGAを用いた電気光学変調器の制御システムを立ち上げ,複数台の光子検出器からの出力に基づいた動的光学スイッチの制御が可能であることを確認した.さらに,高効率な光子対源の実現のために,非線形光学結晶より生成した光子対とシングルモードファイバ間の結合効率を最大にする理論検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,ハイブリッド型の伝令付き単一光子源とシリアルパラレル変換系を駆使し,10光子ボソンサンプリングの実現を目指している.平成29年度までに,多重化法および光子対数識別法を駆使したハイブリッド型伝令付き単一光子源を実現、余剰光子の抑制等をすでに確認している(Optics Express 2016). 本年度において,伝令信号を用いた光子列のシリアルパラレル変換系を実現し,その変換効率が53%という結果を得た(Optics Express 2017).理論検討により,伝令信号を用いない場合の最大効率が50%であることを明らかにし,本研究成果(53%)がそれを超えていることを示した.さらに,複数台の電気光学変調器を伝令信号を用いて制御するシステムをFPGAを用いて構築した.
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Strategy for Future Research Activity |
以上のように,多重化法および光子対数識別法を駆使したハイブリッド型伝令付き単一光子源とシリアルパラレル変換系の実現に成功した.そこで,今後は,ハイブリット型伝令付き単一光子源とシリアルパラレル変換系を組み合わせ,まず余剰光子の発生割合の小さい2光子光源の実現を目指す.この際,構築したFPGAシステムを組み合わせることにより,効率的な制御を行う.その後,多光子光源のシステムを拡大し,ボソンサンプリングの検証実験を行う.
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