2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J06936
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮下 恭光 熊本大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙磁場 / 偏光 / データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
①我々が開発したソフトウェア(QU-fit)の定量的評価テスト:QU-fitとは、偏波スペクトルのモデルを作成し、観測量とよく合うモデルパラメーターの値を効率良く推定するモデルフィット法である。我々は偏波スペクトルモデルの物理的状況を系統的に変化させたときに、ソフトウェアの収束状況やモデルパラメーターの推定結果の善し悪しがどのように変化するか定量的に調べた。これらの結果に関しては、6月にイタリアで行われた国際研究会にてポスター発表を行い、論文としてまとめ、MNRAS誌に投稿した(現在レフェリーコメントに基づいて修正中である)。 ②ソフトウェア(スパースモデリング)の定量的評価テスト:スパースモデリングとは、考えられる解が非常に疎である場合に、目的に応じた制約項を課して精度良く偏波スペクトルを推定する方法である。①と同様ソフトウェアの基本性能を確認するために非常にシンプルな状況を仮定し、ベンチマークテストを行った。これらの結果に関しては、5月と11月に熊本で行われた国際シンポジウムおよび12月にシドニーで行われた国際学会においてどちらも口頭発表を行っている。また、この研究は現在も引き続き行っており、論文に執筆中である。 ③国際的な研究活動:Murchison Widefield Array(MWA)と呼ばれる低周波電波望遠鏡の観測グループに現在自分は加入しており、2018年2月にMWA観測グループの拠点の一つであるオーストラリアのカーティン大学に滞在し、実際にMWAで得られた観測データを用いて偏波解析を行った。具体的に行った活動内容は、1)MWAデータアクセスのためのネットワーク環境構築、2)MWAグループ独自の偏波解析ソフトェアを用いた観測データの解析、3)別の観測によって得られたデータカタログから今回扱うRMデータの領域を抽出し、比較を行う、の3点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が開発した観測量から偏波スペクトルを再構成するソフトウェアQU-fitがどの程度性能を発揮するか定量的に調べた研究に関しては、当初の予定通り論文への執筆が完了し、現在MNRASに投稿中である。また、別の方法で再構築を可能にするソフトウェアソパースモデリングに関してもプログラム整備が完了し、今現在にかけて動作確認および性能の定量的評価を行っている。さらに、国際研究活動においてもオーストラリアのパースに赴き、2020年代に稼働予定の超大型電波望遠鏡Square Kilometre Array (SKA)の試験機であるMWAの観測グループとの共同研究ネットワークの構築、そして、実際の観測で得られたデータ用いて解析を行った。MWAグループとの共同研究に関しては、パース滞在の半分以上を解析のノウハウの勉強に使ってしまったので、平成30年度以降で結果を出すことを目標にする。以上の研究実施状況から当初立てていた計画とほぼ相違なく研究が行われていると判断したため、おおむね順調であるという評価をつけた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはQU-fit定量的評価をまとめた論文の修正を早急に行い、論文の受理および掲載を目指す。その後ソフトウェア(スパースモデリング)の性能評価を引き続き行う。具体的には、シンプルな偏波スペクトルのモデルから少し複雑なモデルを仮定し、それぞれのモデルによって作成されたシミュレーションデータを用いてスパースモデリングを行い、得られた偏波スペクトルの再現率を評価する。そして、従来用いられている手法や既存のソフトウェア(QU-fit)によるシミュレーション結果との比較を行う。結果をまとめた論文の執筆を昨年度のものと合わせて行い、今年度中の投稿および掲載受理を目指す。また、海外の観測グループにおける解析パイプラインへの導入を目標に、システム整備や自動処理および高速化など、より汎用性の高いプログラムへの改良を行う。また、昨年度に引き続き、MWA観測グループの拠点の一つであるオーストラリアのカーティン大学に長期滞在し、MWAによって観測された実際のデータを用いて偏波解析を行う。今年度は広域のサーベイデータを用いて解析を行い、結果を出すことを目標にする。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Cosmic Magnetism in Centimeter and Meter Wavelength Radio Astronomy2018
Author(s)
Takuya Akahori, Hiroyuki Nakanishi, Yoshiaki Sofue, Yutaka Fujita, Kiyotomo Ichiki, Shinsuke Ideguchi, Osamu Kameya, Takahiro Kudoh, Yuki Kudoh, Mami Machida, Yoshimitsu Miyashita, Hiroshi Ohno, Takeaki Ozawa, Keitaro Takahashi, Motokazu Takizawa, Dai G. Yamazaki
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 70
Pages: R2
DOI
Peer Reviewed
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