2017 Fiscal Year Annual Research Report
原子膜材料による超低消費電力デバイスのアトミスティックモデリング
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17J06971
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
髙島 健悟 東京理科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ナノサイエンス / グラフェン / デバイスシミュレーション / 電子輸送計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構造乱れ・界面効果・発熱効果を考慮したグラフェンナノリボンFETの特性評価を行うことを研究目的とした。さらに、他の原子膜材料でも同様の評価を行うことで、比較研究による原子膜材料を用いたデバイスの設計と最適化を行うことも目的としている。平成29年度では、グラフェンナノリボンの界面効果と他材料の欠陥・界面効果を行う予定であった。グラフェンナノリボンFETについては平成28年度に行った端欠陥効果についての内容が発展したため、引き続き研究を行った。他材料の欠陥・界面効果についての研究では、Cu(111)面上におけるCO分子の影響とCNT薄膜における電気伝導現象についての研究を行った。 「グラフェンFETおける端欠陥の影響」の成果は、FETの新動作原理を提案するものであり、半導体ロードマップにおける2030年目標値を達成するに向けたデバイスの設計指針を与えた。この点において、当初予想していた計画よりも研究を進展させることに成功した。また、「他材料の欠損・界面効果」の研究では、2つの実験グループと共同研究を行い、共著で論文を執筆した。1つ目は、理研の実験グループと共同研究を行い、Cu(111)面にCO分子を吸着させた状況下での特殊な電子状態を解明した(PRB, 96, 035424 (2017))。2つ目は、広島大学の実験グループと共同研究を行い、カーボンナノチューブ同士の界面上での電子の振る舞いを解明した(J. Appl. Phys. 122, 015308)。 本研究内容については学会で積極的に報告しており、国際学会3件と国内学会7件を行った。また、本成果は学内外の研究者に高く評価されており、電気通信大学ナノトライボロジー研究センター主催のシンポジウム「物質科学から工学へ」において優秀ポスター賞を受賞した他、東京理科大学において2017年度の学生表彰を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究は期待以上の結果を出すことが出来た。特に、グラフェンナノリボンFETにおける研究では、端欠陥によるデバイス特性の劣化を防ぐ手法のみでなく、端欠陥を利用して、従来の理論では実現することのできなかった超低消費デバイスを提案することに成功した。さらに、他材料の研究でも、研究スタート時は1つの研究を予定していたが、予想を上回り、2つの研究を推進し、それぞれを学術論文にまとめることが出来た。以上より、昨年度の研究進捗は期待以上の発展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究では、計画に示した通り、デバイスにおける熱の影響を調べる。熱の影響を取り入れる際には、量子効果を考慮してデバイスサイズのシミュレーションを行うことが出来る分子動力学計算と開放系シュレディンガー方程式を組み合わせた計算手法を用いる。さらに、端欠陥効果と熱効果を組み合わせることにより、デバイス特性の最適化を行う。また、グラフェン以外の材料でも計算を行うことにより、材料間での比較を行う。
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Research Products
(12 results)