2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J07192
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴来 航介 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 木工具 / 柱状片刃石斧 / 高地性集落 / 鉄器化 / 突き鑿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は木器の保管単位と生産単位の関係性を検討するために、木材の切削技術の研究に重点を置いた。その柱は(1)木工具の体系的理解、(2)木工具の鉄器化に対する評価、の2点である。 (1)では、木工具柄の規格が加工原理に影響することに着目して、柄と刃部の対応関係を整理し、刃部分類の見直しをおこなった。主要な石製刃部のひとつである柱状片刃石斧は、すべてチョウナ用と考えられてきたが、着柄の不可能なノミ用の刃部が存在することが判明した。両者は素材の産出地が異なり、独立した供給体制を介してもたらされる。弥生時代中期後葉には丘陵部の集落で大型品が集中的に出土する。大型品は木材の供給プロセスのなかでも製材など前半段階の作業に特化した道具であり、小型品をもたない丘陵部では木材の伐採から製材を集中的に担い、平野部へ供給した可能性が想定される。ただし平野部では、集落によって作業内容に大きな違いはみられない。従来の木器生産論では、木材資源に対するアクセス(距離)による分業が想定されてきたが、これは出土状況の特殊な木器未成品を扱ったことに起因しており、実際にはどの集落でも基礎的な木工技術と木工具が整備されたものと考えられる。石川県八日市地方遺跡の事例から、複数の集団が共同で伐採・製材作業をおこない、成果物を分担して持ち帰り、消費分をほぼ自給的に生産したと想定している。 (2)では、弥生時代後半の社会にインパクトを与えたとされる鉄について、木工技術の面から検討をおこなった。本研究では加工痕と加工動作を結び付けて、その特質から鉄器化を検討している。今回は木製容器の内面に残るノミの痕跡に注目し、弥生時代の初めから叩き鑿が使用され、突き鑿は鉄の受容とともに出現することが明らかになった。突き鑿によるデザインは後期的な装飾様式の基層を成しており、後期社会の創出に鉄が影響を与えたことを木工技術から裏付けている。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)