2017 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化に伴うサンゴの白化現象の解析と修復に向けたプロバイオティクスの開拓
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17J07458
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
元根 啓佑 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | サンゴ / プロテオーム解析 / 褐虫藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
【抗酸化剤の投与によるサンゴ幼生の生存率の向上】 サンゴは高温条件にさらされると活性酸素種を過剰に産生し、酸化ストレスを受けることで死に至ってしまう。そのため、活性酸素種を消去する抗酸化剤を使用することで、高温条件下で飼育したサンゴ幼生の生存率を向上させることを試みた。サンゴ幼生に対してラジカルスカベンジャーとしてニトロキシルラジカルを持つレドックスナノパーティクルを投与し、10日間33度で飼育したところ、投与なしの場合は生存率が0%であったのに対し、投与ありの場合は生存率が約70%であった。また、プロテオーム解析により、レドックスナノパーティクルの投与によりサンゴ幼生において酸化ストレス関連タンパク質群の生産が減少していることを明らかにした。これらの結果から、レドックスナノパーティクルはサンゴ幼生において過剰に産生された活性酸素種を消去し、サンゴ幼生の生存率の向上に寄与したと考えられる。
【サンゴ共生褐虫藻の単離・培養】 サンゴに共生している褐虫藻の単離・培養を行った。微細藻類の培養に使用されているf/2寒天培地にサンゴ組織ホモジネート液をまき、25度で培養を行ったところ褐虫藻コロニーの形成を確認した。ITS2領域のシーケンスの結果から、単離された褐虫藻はclade Cおよびclade Dに属するものであることが判明した。これらの褐虫藻はf/2液体培地においても培養が可能であることも確認した。また、褐虫藻に共在している細菌の単離にも成功しており、今後は褐虫藻と細菌との相互作用を解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温条件下で飼育されたサンゴ幼生の生存率を抗酸化剤の投与により向上させることに成功し、それらの結果をまとめた論文が受理された。サンゴに共生している褐虫藻の単離・培養にも成功しており、今後は褐虫藻と細菌との相互作用を明らかにできることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
褐虫藻の単離・培養および褐虫藻に共在している細菌の単離に成功しており、今後は褐虫藻と細菌との相互作用を解析していく予定である。また、サンゴの病原菌に対して生育阻害活性を示す細菌のスクリーニングおよび機能解析を行う予定である。
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Research Products
(9 results)