2018 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化に伴うサンゴの白化現象の解析と修復に向けたプロバイオティクスの開拓
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17J07458
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
元根 啓佑 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | サンゴ / 褐虫藻 / ストレス耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【培養褐虫藻のストレス耐性の向上に寄与する細菌の同定】 アザミサンゴ(Galaxea fascicularis)から単離した褐虫藻および細菌を用いて、細菌が褐虫藻に与える影響を調べた。具体的には細菌叢が異なる培養褐虫藻株を作製し、熱ストレス条件下と光ストレス条件下でそれぞれ培養を行い、PSIIの最大量子収率および活性酸素種の生産量を測定した。その結果、褐虫藻の細菌叢がPSIIの最大量子収率および活性酸素種の生産量に影響を与えることを明らかにした。さらに、褐虫藻のストレス耐性を上昇させる細菌を同定し、その細菌が生産する化合物がストレス耐性の上昇に寄与していることを明らかにした。
【サンゴ病原菌の生育を阻害する細菌の同定】 細菌性白化を引き起こすことで知られるサンゴ病原菌Vibrio coralliilyticusの生育を阻害する細菌を同定した。29株の細菌をアザミサンゴから単離し、寒天培地上での阻止円形成によりVibrio coralliilyticusに対する生育阻害活性を評価したところ、3株の細菌において生育阻害活性が認められた。それら3株の16S rRNA遺伝子のシーケンスを行ったところ、それらの細菌はRuegeria属に属する細菌であることが判明した。現在はより詳細な実験を行い、それらの細菌が生産する生育阻害因子の同定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
褐虫藻のストレス耐性を上昇させる細菌を同定し、その細菌が生産する物質がストレス耐性の上昇に寄与していることを明らかにした。これらの結果をまとめた論文を現在投稿中である。また、サンゴ病原菌の生育を阻害する細菌の同定に成功し、その成果をまとめた論文が受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより詳細な実験を行い、細菌が褐虫藻のストレス耐性を上昇させるメカニズムを考察する予定である。また、Ruegeria属に属する細菌が生産する生育阻害因子の同定を試みる予定である。
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