2017 Fiscal Year Annual Research Report
外れ値への頑健性および多目的最適化を導入した近似計算代数アルゴリズムの開発
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17J07510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
計良 宥志 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 計算代数 / 消失イデアル / 特徴量抽出 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は近似代数アルゴリズムの設計を行った.研究成果は人工知能に関する最も大きな会議であるAAAI2018(採択率25%)において発表された.以下行った研究の概要を述べる. 今回の研究では計算代数の概念(消失イデアル)を拡張し,特徴量抽出に利用できることを示した.現実に得られるデータはノイズを含んでいるため,ノイズを考慮しない計算代数の概念をそのまま適用するとあまり良い結果が得られない.従来の手法はノイズを吸収するために近似を導入した(近似消失イデアル).しかしその結果,従来の代数的構造が壊れてしまう,というのが本研究の出発点である.本研究ではノイズを含むデータから代表点を計算し,その代表点については(ほぼ)厳密な代数構造(消失イデアル)をもち,かつ元々のデータを適当に近似する(近似消失イデアル)ような計算手法を提案した.またこのようなイデアルに関する理論的な解析を行った.実験において,従来の消失イデアルを用いた手法よりもコンパクトな特徴(余計な部分を効果的に省いた特徴)が手に入ることを実験で示した. 結果は前述の国際会議AAAIで発表された.発表形式はオーラルとポスターの二種類があり,本研究はポスター発表となった.ただし,他の会議と異なりAAAIでは研究そのものの優劣ではなく万人に興味があるテーマか,他の発表との重複はどうかなどの点を考慮して発表形式が分けられている点に注意されたい.また本研究はポスター発表のうち特にスポットライト発表に選ばれ短いながらも口頭で発表する機会も得られた.会議では様々な研究者と議論し最新の研究に触れた.また自身の研究をどう深めるかに関しても様々な意見と情報を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【評価】※当該年度における研究への取組、研究成果について具体的に評価してください 当初の予定通り,近似計算代数に基づくアルゴリズムの設計を行いました.従来のアルゴリズムの問題点を洗い出し,それに対して適切な観点からアプローチを提案しました.また提案手法は理論的な保証を伴い実験的にも従来の手法と有意な差を示しました.研究成果は機械学習の国際会議の最も大きなものの一つ,AAAIに採択されそこでポスター発表を行いました.ポスター発表のうちでも特にスポットライトとして選定され短時間ではありますが口頭発表も行いました.これまでの研究過程及び会議での議論を踏まえ,現在新たな研究の方法性を模索しています.現在調査を行なっている限りではこの方向性は非常に先進的で研究成果が出た際には分野に大きな影響を与えるものだと期待できます.
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究を通して「ノイズ」という点に興味を得た.現在は計算過程にノイズが含まれる場合に従来の代数的な機械学習がどのように機能できるかという点から研究案を模索している.現在の計算機においては計算過程にノイズがのるということはあまりない.しかし例えば生命システムにおける計算は計算過程が多大なノイズを受けるため,従来の手法が必ずしもうまく機能するとは限らない.今後はどのような代数的機会学習が生命システムで機能可能か,機能可能にするにはどのような改良が必要かなどについて調査・研究していく.
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