2017 Fiscal Year Annual Research Report
The syntactic structure and semantic interpretation of nominal phrases in languages without overt articles
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17J07534
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
宮内 拓也 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 名詞句 / 出来事名詞 / NP/DP / VoiceP / 属格 / 定性・特定性 / ロシア語 / 日本語 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に出来事名詞を扱い,名詞句の構造にアプローチした.ロシア語の出来事名詞句内に現れる具格動作主の名詞句の統語的位置,認可方法を束縛の現象から明らかにした.また,ロシア語と同様の統語構造が日本語の出来事名詞句についても適用可能であることを示し,それが文レベルの構造と並行性があることを指摘した.さらに,ロシア語と英語における属格名詞句の前置の可否は,各言語におけるDPの有無に起因しているという仮説を提案した.なお,本研究の出来事名詞句の構造では,その一部に態に関わる機能投射(VoiceP)を想定するが,これは筆者の従来の研究と拮抗的ではなく,両立可能であることも確認された.上記の成果は,各段階に応じて,いくつかの国際会議で発表し,現在論文を投稿中である. (特)定性の意味解釈については,ロシア語,日本語で異なる方向からアプローチした.ロシア語の(特)定性の意味解釈については,数詞と所有代名詞を含む名詞句の最大解釈の可否に注目することで,定性の意味解釈がDP領域でなされていないことを示すと考えられるデータが得られた.これについて意味論からの理論的考察を進めた.また,日本語の(特)定性については,国立国語研究所との共同研究として,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』への情報構造アノテーションの結果をもとに当該名詞句の文末からの距離をモデル化した.これらの成果については,現在学会での発表へ向け準備中である. コーパスの構築については,日本語については『現代日本語書き言葉均衡コーパス』への情報構造アノテーションの成果を利用することとし,ロシア語についてはその翻訳版を用いることとした.今年度は,国立国語研究所との共同研究として,上記のアノテーションについて国際会議で発表し,論文を投稿した.また,予定していた分のデータ(PNコアデータ16ファイル)のロシア語翻作業を完了させた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画からは異なる方向からのアプローチではあるものの,冠詞のない言語における名詞句の統語構造(機能範疇の有無,多寡),定性・特定性の意味解釈という本研究課題の中心的な問題について,十分に研究を進めることができた.研究課題にとっては周辺的ではあるものの,具格動作主の統語上の位置と認可の方法についても明らかにすことができたのは大きな成果であった.このように大きな進展があった一方,コーパスの構築については若干の遅れが見られる.この点を考慮しても,全体としてはおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
理論面については,昨年度に引き続き,出来事名詞(句)の構造について考えることで名詞句の構造(DPや他の機能投射の有無,多寡)にアプローチすることを考えている.昨年度は,ロシア語-英語間における属格名詞句の出来事名詞に対する前置の可否の違いが,各言語の名詞句の統語構造の違い(DPの有無)に起因しているという仮説を提出したが,この仮説の妥当性を示すにあたっては,まだ曖昧な部分や検討すべき事項が多くある.今年度はこれについてより深く検討し,仮説を精緻化する予定である.これについては昨年国際会議で発表しているため,今年度より詳細な検討をした上で,論文にまとめることを予定している. さらに,昨年度は,数詞と所有代名詞を含む名詞句の最大解釈の可否に注目することで,定性の意味解釈がDP領域でなされていないことを示すと考えられるデータが得られた.昨年度中に一定程度は意味論からの理論的考察を進めたが,今年度は仮説の妥当性を検証するためのより有効なテストを探し,より精緻に考察,検討を行う予定である.これについては国際会議での発表を通じて,他の研究者からの意見を得たい. 実証面については,コーパス構築に向けロシア語の日本語からの翻訳データに対して,(特)定性のアノテーション作業を行う予定である.アノテーション作業完了後に,日本語コーパスとロシア語コーパスのアライメントを取り,パラレルコーパスを完成させる.それを用いてロシア語,日本語の名詞句の(特)定性に関して対照を行う.
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Research Products
(6 results)