2019 Fiscal Year Annual Research Report
大型哺乳類の食性の個体間の多様度における学習の影響
Project/Area Number |
17J07841
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
長沼 知子 東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 安定同位体比分析 / 食性 / 雑食性動物 / ツキノワグマ / 性齢クラス / ニホンジカ / ブナ科堅果 |
Outline of Annual Research Achievements |
ツキノワグマの食性を個体レベルで解明し、性・齢、血縁関係、食物資源および種間関係が食性に及ぼす影響を複合的に評価し、大型哺乳類における個体間の食性の多様度に学習が及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。具体的には、ツキノワグマの体毛の安定同位体比分析および糞内容物分析から得られた食性データと個体の属性情報(性・齢、血縁関係)を基に、加齢に伴う個体学習および母親から子への伝播に伴う社会学習が、大型哺乳類の食性の多様度に与える影響を体系的に明らかにすることを目指した。 1.ツキノワグマの性別、年齢、ブナ科堅果の結実豊凶と食性との関係を検証したところ、これらすべてが要因となって食性に違いが生じていたことが明らかとなった。植物質の利用は個体群全体で同程度であった一方、ニホンジカの利用はクマの性別や年齢により異なっており、採食戦略の違いを反映していることが考えられた。 2.ニホンジカの利用可能量の変化がツキノワグマの食性に与える影響を検証した。その結果、シカの利用可能量の変化によってクマは食性を変化させていたが、季節やクマの性別によって影響は異なることが示唆された。 3.ツキノワグマの母子間、父子間、非血縁個体間で食性を比較するとともに、同一個体の食性の経年変化を検証することで、ツキノワグマの食物選択への社会学習と個体学習の影響を評価した。その結果、社会学習が食性に影響している可能性があり、季節によって影響が異なることが示唆された。また、食性を年齢とともに変化させる個体も多く、個体学習も食物選択に影響することが考えられた。 本研究から、ツキノワグマの個体の属性や季節などが個体群内の食性の多様度に影響するとともに、食性への学習の影響は採食資源の季節性や性質によって異なる可能性が明らかとなった。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)