2017 Fiscal Year Annual Research Report
森林植生が環境中の金属イオン動態に与える影響の検出
Project/Area Number |
17J07854
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
太田 民久 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 森林生態学 / 生態系生態学 / カルシウム動態 / 森林植生 / ストロンチウム同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究にいおいて私は、森林樹木およびコケ植物がもつ特性に着目し、彼らが環境中の金属元素の動態に与える影響を検証した。 近年、私が発表した研究論文を含めた複数の研究により、森林植生が環境中のカルシウムのような金属イオンの動態に有意な影響を与えることがわかってきた。具体的には、スギが植林されることで、カルシウム土壌および河川水中のカルシウム濃度が著しく上昇し、それにより体組織中にカルシウムを多く含む河川および土壌甲殻類の密度がスギ林で著しく高くなるということが分かってきた。本研究では、そのメカニズムに迫るとともに、どの程度のスケールで森林植生がカルシウム動態に影響をおよぼすかをストロンチウム同位体比を用いて推定した。その結果、集水域にスギが優占している森林河川水のストロンチウム同位体比は、母岩のストロンチウム同位体比に近い値を示した。つまり、スギは母岩からのカルシウムを溶出を促進すると同時にカルシウム濃度の高い落葉リターを林床に供給することで、土壌および河川水中のカルシウム濃度を上昇させることが推測された。 また、コケ植物は表皮組織から大気降下物中の栄養源を吸収していることが知られている。そのため、コケ植物の重金属濃度は黄砂や化石燃料由来物質の降下量を推定する生物指標として用いられてきた。本研究では、濃度のみでなくコケ植物中の安定同位体比を測定することで、大気降下物の降下量だけでなく起源の推定を試みた。本年度は、西日本を中心とした各地域からコケ植物を採集し、ストロンチウムおよび鉛の安定同位体比を測定し、そのマッピングを試みた。その結果、コケ植物の安定同位体比の値は地域間で著しく異なり、特に標高の高い地点で黄砂由来物質の値に近くなった。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)