2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J07892
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平川 弘幸 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 骨芽細胞 / 感覚神経 / 透明化 |
Outline of Annual Research Achievements |
感覚神経活性化による骨芽細胞へのシグナル伝達を、骨芽細胞内Caの濃度変化を指標に解明するため、マウス胎児から後根神経節(DRG)を単離・培養する技術を習得し、DRGと骨芽細胞を共培養するシステムを確立した。共培養の結果、蛍光ラベルしたDRGから発芽・分岐する感覚神経線維の一部が骨芽細胞に投射している像を確認できた。さらに、感覚神経を種々の薬剤で活性化し、骨芽細胞の細胞内Caの濃度変化をfluo-4を用いたCaイメージングにて観察した。また、生きたマウスのDRGに直接、ウイルスを投与する技術を確立し、アデノ随伴ウイルスを用いてDRGにおけるチャネルロドプシン2(Ch2)の発現誘導を試みた。アデノ随伴ウイルスのDRGへの投与から2週間後に組織切片を作成したところ、DRGにおけるChR2の発現が確認された。加えて、DRGを酵素処理して細胞培養用ディッシュに播種したところ、single cellでもChR2の発現が認められた。 感覚神経系からのシグナルを受容する骨芽細胞をFACSにて単離し、その遺伝子発現を解析するため、マウス脛骨から骨芽細胞を単離する方法を検討した。脛骨を破砕・酵素処理し、抗ALP抗体等を用いて骨芽細胞を単離する方法が最適であることを見出した。 さらに、一般的な免疫染色による二次元的な組織学的解析では骨内の感覚神経の走行の把握に限界があるため、三次元的に感覚神経と骨の関係性を解析することを目指した。近年開発された組織透明化技術を改良し、Sox10-Venusマウスを用いて骨組織の透明化技術の開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請1年目で、骨と感覚神経の連関を解明するために必要な新規実験系・解析系の確立に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
感覚神経を特異的に刺激し、刺激に対する骨の応答を解析するため、生きたマウスの後根神経節(DRG)に対して、アデノ随伴ウイルスを用いてチャネルロドプシン2(ChR2)を発現させる。続いて、ChR2を発現させたDRGの神経細胞に青色光を照射し、パッチクランプ法により光刺激依存的な感覚神経の活性化を確認する。そして、感覚神経を恒常的に活性化させたマウスからFACSによって骨芽細胞を単離し、その遺伝子発現プロファイルを検証する。 一方で、骨と感覚神経の連関を「構造」の面からも明らかにするために、様々な神経トレーシング技術を駆使し、感覚神経と骨組織を結ぶ神経回路の同定を目指す。具体的には、生きたマウスのDRGや脛骨骨髄内にGFPを発現するウイルストレース剤を投与し、ウイルス由来のGFPを発現する細胞の分布を組織学的に検討する。また、骨組織の透明化技術の開発も独自に進めており、骨内の感覚神経の走行の詳細を可視化することで、神経と骨組織の連関を三次元的に明らかにする。
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