2017 Fiscal Year Annual Research Report
転写伸長調節におけるコヒーシン、コヒーシンローダーの分子機能の解明
Project/Area Number |
17J07911
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鄭 盛穎 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | コヒーシンローダー |
Outline of Annual Research Achievements |
高等真核生物では、コヒーシン及びその染色体結合を手助けするコヒーシンローダーが転写調節機能を有し、発生、分化において重要な役割を果たしている。しかし、コヒーシンやローダーがどのように制御され、どのように転写伸長反応に組み込まれているのか、その詳細なメカニズムは不明である。 コヒーシンまたはコヒーシンローダーと協調して転写制御能を持つ因子の探索のため、共免疫沈降法を行った。コヒーシンローダーを構成するサブユニットであるNipblとMau2にタグを付加し、培養細胞内で発現させた。この培養細部の核抽出液からタグに特異的な抗体を用いてNipblやMau2の粗精製を行い、結合タンパク質を抽出し、抽出した結合タンパクを質量分析装置により網羅的に同定した。その際用いた核抽出液をさらに、低い塩濃度で可溶化した画分とBenzonaseを加えDNAを裁断し高い塩濃度により可溶化した画分に分けると、培養細胞全体または核抽出液全体を用いるより高い精度で結合タンパクが同定された。 in vitroの転写再構築系では、培養細胞の核抽出液とエンハンサー配列・プロモーター配列を持つテンプレートDNAを混合し、試験管内で転写反応を再構成する。テンプレートDNAに結合するタンパク質を精製し検出すること、テンプレートDNAの配列の改変や、転写反応で産出されたRNAを定量することが可能であり、転写反応を詳細に解析できる。この転写再構築系を用い、コヒーシンやコヒーシンローダーが転写伸長反応のどの段階にどのような機能を果たすのかを明らかにする。再構築系で転写に関与するタンパク質がテンプレートDNAに結合していることがウェスタンブロティング法で見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コヒーシンローダーと相互作用する因子の探索のために行った共免疫沈降法で用いる培養細胞やタンパク質の精製方法を検討し、目的にあった条件を見つけることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
共免疫沈降法でコヒーシンローダーと相互作用する因子として同定された複数の結合タンパク質から、コヒーシンまたはコヒーシンローダーと協調して転写制御する因子を絞り込むために、候補となっている因子をRNAiによりノックダウンした際に転写反応がどのように変化するのかをリアルタイムPCR法やqPCR法により検出する計画である。 in vitroの転写再構築系においては、転写反応で産出されるRNAを定量するために、逆転写反応によりRNAから合成されたcDNAをリアルタイムPCR法により検出する方法を構築する。また、用いる核抽出液からコヒーシンやコヒーシンローダーを取り除いた際に、テンプレートDNAと結合捨タンパク質に変化は出るか、合成されるRNA量に変化は見られるのかを検討して行く予定である。さらに、上記の共免疫沈降法で見つけたコヒーシンまたはコヒーシンローダーと協調して転写制御する因子の転写への影響も、各抽出液から取り除く、相互作用できない変異体を用いるなどしてさらなる解析を行う。 in vitroの転写再構築系で得られた結果が培養細胞内でも見られるかも検討するため、コヒーシンやコヒーシンローダー、相互作用因子をRNAiによりノックダウンし、RNAの成熟過程やRNAPolIIのゲノム上での局在、ヒストン修飾の状態を、結果に応じてゲノム学的手法により多面的に検出する予定である。
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Research Products
(1 results)