2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J08115
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中野 雅之 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 重力波 / レーザー安定化 / 干渉計 / 制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
重力波検出機KAGRAは日本で建設中の干渉計型重力波検出機である。KAGRAは、Michelson干渉計を利用し、重力波による二点間の距離変動を測定することで重力波の観測を行う。 重力波によって起きる相互作用は非常に小さく、重力波検出機では10^-20 mと言う微小な距離変動を測定する必要がある。そのため、微小な外乱が雑音源になり得る。雑音源の1つに干渉計に使われるレーザー源がもつ雑音があげられる。したがって、レーザー光源の周波数や強度などの安定化システム(入射光学系)は重力波の検出に必須となる。 重力波信号は、干渉計の腕の長さに比例して大きくなるため、KAGRAは3kmの長さの腕を持つ。また、実行的な腕の長さを伸ばすためにFabry-Perot 共振器が両腕に組み込まれ、重力波に対する感度を向上させている。このような構成をFabry-Perot Michelson干渉計(FPMI)と呼んでいる。また、KAGRAには腕共振器に加えPower Recycling Cavity (PRC), Signal Recycling Cavity (SRC)と呼ばれる共振器が組み込まれている。 このように、KAGRAは数多くの共振器から構成されており、観測のためには、それぞれの共振器長が制御され、共振点に保持される必要がある。このような状態を維持することを「干渉計をロックする」と言うが、干渉計ロックのためには、4つの共振器長とMichelson干渉計部分の全ての自由度を、同時に制御することが必要になる。
申請者は、上記の入射光学系の開発とインストール、および、干渉計制御実験に従事してきた。レーザー光源の安定化システムはインストールが完了し、干渉計の制御実験に置いては十分な安定度を達成している。また、干渉計制御実験においても、1つ目のマイルストーンである1つの腕共振器のロックに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在KAGRAプロジェクトとして提示されたスケジュールに対し、申請者が従事してきた、入射光学系インストール作業や干渉計制御実験などの作業は遅れることなく進んでいる。 一方で、腕共振器を用いた入射光学系の性能評価に関しては十分な解析ができていない。また、令和1年度に予定されている強度安定化システムの準備に関しても遅れている部分もあり、なお一層の努力も必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
KAGRAでは、干渉計の制御実験(重力波業界ではこの作業を干渉計コミッショニングと呼ぶ)が進んでおり、上記の通り2018年12月に腕共振器の一方がロックされた。今後もう一方の腕共振器や、PRCやSRCの制御を行い、干渉計のフルロックを目指す。
現在世界の重力波観測機(LIGO、Virgo)からなる重力波検出機ネットワークは3回目となる観測運転期間(O3)にある。O3は2020年3月まで行われる予定であるが、このO3への参入が求められている。重力波検出機で雑音が問題になることは上記の通りである。したがって、重力波検出を達成するためには様々な雑音源の特定と対策が必要となる。干渉計のフルロックを達成した後には、様々な環境モニタリングシステムを駆使し、雑音を下げ、重力波検出に必要な感度を達成し、O3への参入を目指す。
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Research Products
(7 results)