2017 Fiscal Year Annual Research Report
血球破壊と血液凝固を自己認識・回避するインテリジェント人工心臓の開発
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17J08128
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村重 智崇 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | インテリジェント化 / 血栓検知 / 血栓抑制 / 磁気軸受 / 人工心臓 / 動圧軸受 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,血球破壊と血液凝固を自己認識・回避するインテリジェント人工心臓の開発を行っている.平成29年度は,評価用ハイブリッド人工心臓の製作およびインペラ強制加振の応答からポンプ内血栓の検出と抑制に関する評価を行った. 1. ハイブリッド人工心臓の製作: 血球破壊の抑制効果が期待されるプラズマスキミングを能動的に発生させるため,磁気軸受と螺旋状動圧軸受を組み合わせたハイブリッド人工心臓を提案した.まず,各軸受隙間に対して動圧軸受が発生する流体力を数値解析から算出した.算出した値をもとに,磁場解析ソフトウェアを用いてインペラを任意の浮上位置に調製可能な磁気軸受を設計した.設計した磁気軸受と動圧軸受を実装することで,先行研究より明らかになっているプラズマスキミングが発生する軸受隙間の区間で,インペラを能動制御可能なハイブリッド人工心臓を製作することができた. 2. ポンプ内血栓の検知および抑制に関する評価: まず,人工心臓自体がポンプ内血栓を自己検知することが可能かを評価するため,インペラ強制加振を応用した血栓検知実験を行った.その結果,インペラ強制加振用の入力電流とインペラ変位の位相差から,ポンプ内血栓を検知可能であることを確認した.次に,インペラ強制加振とポンプ内血栓形成との関係を評価した.その結果,インペラ強制加振の周波数の増加とともに,ポンプ内血栓の血栓形成時間は延長傾向にあることが分かった.また,インペラ強制加振による血球破壊(溶血)への影響を評価するため,溶血試験を行った.その結果,インペラ強制加振がある場合とない場合で,溶血量に差はないことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究計画に従ってプラズマスキミングを能動的に発生可能なハイブリッド人工心臓を設計し,製作することができた.また,ポンプ内血栓を人工心臓自体が自己検知する技術を提案し,生体模擬環境下で実証することができた.さらに,ポンプ内血栓を物理的に抑制する手法を提案し,基礎実験からその可能性を確認することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,軸受隙間におけるプラズマスキミングの効率とポンプ内血栓形成および溶血との関係性に着目し,評価を行う予定である.
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