2018 Fiscal Year Annual Research Report
血球破壊と血液凝固を自己認識・回避するインテリジェント人工心臓の開発
Project/Area Number |
17J08128
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村重 智崇 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | インテリジェント人工心臓 / 血栓検知 / 血栓抑制 / 磁気軸受 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,血球破壊と血液凝固を自己認識・回避するインテリジェント人工心臓の開発を行っている.平成30年度は,インペラ強制加振の応答と血栓形成量の評価,インペラ強制加振と血栓抑制の生体模擬評価を行った. 1. インペラ強制加振による血栓検知: 前年度までに磁気軸受の制御を応用し,インペラに強制加振を加えた際の入力電流とインペラ変位の位相差から,ポンプ内血栓を検知できることを確認した.本年度はインペラ強制加振の入力電流とインペラ変位の位相差と形成される血栓量に関して評価を行った.ポンプを模擬循環回路に接続し,実臨床に条件を近づけるためヘパリンナトリウムで抗凝固されたブタ血液を循環させた.その結果,まずヘパリンナトリウム抗凝固血液でも本手法によって血栓を検知できることを確認した.さらに,位相差とポンプ内隙間にできる血栓量に相関傾向があることが分かった. 2. インペラ強制加振による血栓抑制: 前年度までにポンプの出入口を塞いだ基礎実験系を用いた実験から,インペラを強制加振させた場合,加振なしの場合よりも計測トルクから算出した血栓形成時間が優位に延長し,血栓形成量も減少傾向にあることを確認した.本年度は回路を用いた模擬生体試験を行い,本手法の有効性を評価した.前述の基礎実験結果から選定したインペラ強制加振があるモデルとないモデルを比較した結果,加振がある場合はない場合よりも血栓形成時間が約2倍に優位に延長し,形成された血栓量も減少傾向にあることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,血栓に関する人工心臓のインテリジェント化に取り組んだ.まず血栓検知に関してインペラ加振変位と加振信号の位相差とポンプ内隙間に形成される血栓量に相関があることが確認できた.血栓予防に関しては,昨年度の基礎実験結果をもとに回路を用いた生体模擬実験を行い,インペラ加振がポンプ内血栓を優位に抑制することを確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,血栓予防技術をさらに発展させるため,インペラ駆動方法が血栓予防特性に与える影響の評価を予定しており,従来のインペラ強制加振制御と拍動駆動制御の比較を行う.また,赤血球分離現象と溶血特性の関係評価に関しては,基礎実験装置を用いて評価する予定である.
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