2017 Fiscal Year Annual Research Report
分子熱工学と情報科学を融合した手法による界面の熱電変換機能の創成
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17J08427
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
FENG LEI 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 熱電変換 / 界面熱輸送 / 原子グリーン関数法 / フォノン波束動力学法 / 非平衡グリーン関数法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のめざましいナノ構造化製造技術の進展に伴い,熱伝導率の大幅な低減による熱電変換性能の飛躍的な向上が数多く報告されている。熱伝導率の低減は主にナノ構造化によって生じた豊富なナノ構造界面の界面熱抵抗によるものである。更なる高性能熱電変換を図るためには,界面熱・電気輸送の制御性(熱を通しにくく,電気は通しやすいというフォノン・電子輸送のデカップリング)を高める必要があるといえる。一方、界面熱・電気輸送は界面の微視的構造に強く支配されるため,数値解析によって界面輸送を調べる際には,界面の微視的構造を考慮した解析手法を採用することと,実験と同一の界面を対象とすることは極めて重要であるが、従来の数値解析では実際の界面構造を十分に再現できていないという課題があります。そこで本研究は実際の界面を考慮した輸送解析手法の構築や新たな界面機構の創成とそれに伴う界面熱・電気輸送のデカップリングによる熱電変換性能向上を目指す。 本年度は、通常のシリコン多結晶系ではなくシリコンマトリックスに埋め込んだゲルマニウムナノ粒子のナノ構造体を提案して、ゲルマニウムナノ粒子によるフォノン波との共鳴効果を数値解析で明らかにした。このナノ粒子に由来するフォノン共鳴効果により、特定周波数フォノン伝播のオンオフを制御できる他、従来フォノンの粒子的な描像で散乱されにくい低テラヘルツ領域のフォノンを遮断させ更なる熱伝導率の低減に寄与する。また、ナノ粒子の周りに電子が通るパスが残るため、熱・電子輸送のデカップリング効果が期待される。最終に熱電変換性能指数の評価に向けて、界面における熱・電気輸送の一貫性評価手法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、界面熱輸送解析のためのフォノン波束動力学法や原子グリーン関数法を開発し、ナノ粒子に起因するフォノン共鳴現象を解明した。また、それに伴う更なる熱伝導率の低減や熱・電子デカップリング効果が期待される。従来のフォノン粒子的な描像の輸送論ではなく、波動的な輸送論に基づいて実施した。また、この特性を利用した熱輸送のスペクトル制御に関する知見を得た。さらに、メタ材料に留まらず実験で作製可能なナノ粒子が対象となるため、実際の応用に繋がる。これらの結果について、国内外の学会での口頭発表および学術論文での報告が行った。
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Strategy for Future Research Activity |
熱・電子輸送のデカップリング効果では、昨年度のナノ粒子の埋め込んだ系に続いて、他種類のナノ粒子の効果も評価する。単体も各種のシリサイドも対象とし、金属や半導体の特性も考慮した上で界面における熱・電気輸送の一貫性評価手法を用いて進める。さらに、界面輸送解析と機械学習の最適化手法を組み合わせたアプローチにより、ナノ粒子の各因子を最適化することでデカップリング効果を最大限に引き出す。 一方、実際の界面を再現する研究について、機械学習のための記述子やトレーニングデータを用意しベイズ最適化を行う。得られた界面構造の輸送解析を行うことで、実験の計測結果と照合しながら熱・電子輸送のデカップリング効果を検証する。最後に界面の微視的構造とデカップリングの相関を明らかにし,ナノ構造界面の高性能熱電変換機能の設計指針を得る。
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Research Products
(7 results)