2017 Fiscal Year Annual Research Report
不登校・高校中退者の学習・進路支援に関する研究:官民協働による教育実践に着目して
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17J08473
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
内田 康弘 愛知教育大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 不登校 / 高校中退 / 通信制高校 / サポート校 / 定時制高校 / 学習支援 / 公私連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、不登校・高校中退者の学習・進路支援に関して、学校と民間教育機関との官民協働の実践に着目してその実態を明らかにしつつ、混合研究法を用いた実証的な効果分析を通じて、包括的な支援モデルの可能性と課題を検討することである。そのため、本研究では異なる3つの高等学校と民間教育機関との連携による支援実践に着目し、①全国の通信制高校サポート校への訪問調査および質問紙調査、②定時制高校と連携する認定NPO法人Zの支援実践への訪問調査と質問紙調査、③サポートステーションからの委託を受けて高校中退者に対する学校連携推進事業を実施するNPO法人Yへの支援実践への訪問調査と質問紙調査を行い、その実態把握と効果分析を行う。 採択1年目の本年度は、①質問紙によるサポート校の全数調査のための基盤整備、②認定NPO法人Zのキャリア教育支援への訪問調査、の2点を軸に研究を進めた。①では、重要文献を購入して文献調査を進め、生徒数や進路状況等の質問項目を精査して質問紙の項目を精査した。次に、全国のサポート校へ郵送による質問紙調査の回収率を上げるため、日本オルタナティブスクール協会関係者を訪問して調査協力の依頼を行ったが、本年度中の実施は難しいとの結論を得た。よって質問紙の内容を再検討するとともに、来年度に再度、調査協力を依頼することとした。 ②では、NPO法人Zの支援実践へ参加観察という形で訪問調査を行い、定時制W高校の生徒や教員、NPOスタッフ、そして地域住民にインタビューしてデータを収集した。また、W高校の准校長へのインタビューを行い、キャリア支援実践の意義とその効果について知見を得た。さらに、NPO法人Zが独自に行っているアンケート調査の量的データに関する二次利用の許可を受けたため、統計的な分析を行った。なお、この結果については、2018年7月の日本高校教育学会第26回大会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行にあたって提示した3つの作業課題のうち、①通信制高校サポート校の全数調査に関しては、その実施協力が肝要となる日本オルタナティブスクール協会の協力を得られなかったため、やむなく来年度への延期という結果となってしまった。しかし、②認定NPO法人Zが行う定時制W高校における支援実践への訪問調査と質問紙調査については、当該年度において、その円滑な実施とデータ収集が可能であり、分析結果も学会発表できる段階まで持っていくことができた。また、③NPO法人Yへの支援実践への訪問調査と質問紙調査についても、①および②の研究調査と並行して調査協力を依頼し、Yが実施する私立全寮制高校でのキャリア支援実践に関する効果分析の研究協力者として、正式に研究協力関係を締結することができた。よって、本年度は①の調査延期という予期せぬ事態に直面したにせよ、②および③の実施に向けて順調かつ充実した研究活動を展開できたという点で、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は3つの作業課題のうち、①通信制高校サポート校の全数調査に関して、日本オルタナティブスクール協会への協力依頼を継続する。また、当協会に所属していない複数の大規模通信制高校の校長・理事長への訪問調査を行い、サポート校の全数調査に関する協会依頼を直接行っていく。そうすることで、全数調査の実施可能性の向上および質問紙回収率の向上を着実に達成する方策を練る。②認定NPO法人Zが行う定時制W高校における支援実践への訪問調査と質問紙調査については、引き続き訪問調査を継続するとともに、学会発表を通じてその研究成果を公表しつつ、学術論文にまとめて全国誌に投稿を行う。また、③NPO法人Yへの支援実践への訪問調査と質問紙調査については、私立全寮制高校の学校長および教員に対して正式な調査許可を得るとともに、Yによるキャリア支援実践への参与観察を通じて質的データを収集する。また、可能であれば在校生徒・教員へのインタビューを実施し、キャリア支援を取り巻くアクターが抱いている、キャリア支援に対する個々の意味づけを構造化して分析する。
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Research Products
(2 results)