2017 Fiscal Year Annual Research Report
RNAアプタマースイッチを利用した低オフターゲット効果ゲノム編集法の開発
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17J08531
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松本 大亮 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / CRISPR/Cas9 / RNAアプタマー / 相同性組換え / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、RNAアプタマーを応用したCRISPR/Cas9システムの高機能化を目指している。ゲノム編集に用いられるCRISPR/Cas9は20塩基という長い配列認識が可能であり、生物ゲノムのDNA配列を自在に改変することができる。正確なゲノム編集を行うためには、細胞の遺伝子修復機構の一つである相同性組換えを介した効率的な編集が必要となる。そこで、その手法としてGemininアプタマーの取得による細胞周期特異的なCRISPR/Cas9の活性化を行うことを目指した。Gemininは細胞周期のS/G2期に高発現しているため、Gemininアプタマー配列を有するCRISPRのguide RNA (gRNA)に対するアンチセンスRNAがGemininと結合し、gRNAから解離することでCas9を活性化する。大腸菌内においてGemininタンパク質を作製し、SELEX法を用いたアプタマーの取得を試みた。8サイクル後に配列の収束が確認されたが、シークエンスによる解析の結果、候補となる配列が取れていないことがわかった。そこで、すでに報告されているRNAアプタマーであるバクテリオファージMS2のカプシドタンパク質と結合するMS2アプタマーを利用し、細胞周期特異的な活性化を行うことにした。MS2アプタマーの配列をgRNAのテトラループ部位の配列を置換したgRNAを作製し、活性を評価したところ、Cas9の活性に影響がないことがわかった。今後はこのアプタマーに結合するMS2 coat protein(MCP)と蛍光タンパク質、さらにCdt1タンパク質由来のS期分解ドメインを融合した阻害タンパク質を作製し、G1期におけるCas9タンパク質の活性が阻害されるかを評価し、相同性組換え効率の向上が見られるかも評価していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、Gemininに対するアプタマーを取得し、それをアンチセンスRNAとしてgRNAを不活化し、細胞周期のS/G2期において活性化を行う予定であったが、アプタマーがうまく取得できていなかった。また、細胞内のGemininを利用することによる細胞内Geminin濃度の低下による細胞への影響の懸念もあった。そこで、すでに報告されているMS2アプタマーの配列とそれに結合するMCP、更にCdt1由来のS期分解ドメインを利用した新たな系を構築した。これを用いても当初の目的と同様に細胞周期のS/G2期特異的なCas9の活性化が可能であると考えられる。本系を用いたゲノム編集による相同性組換えへの効果を迅速に評価し、時間的な猶予がある場合はランダム配列を減らしたRNAライブラリからのGemininアプタマーの再取得を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
ウエスタンブロットによってCdt1由来のS期分解ドメインによる阻害タンパク質量への効果があるかを評価する。細胞周期制御をノコダゾールなどの薬剤を用いて行い、切断活性が変化するかを評価する。作製したGFP発現レポーター細胞を利用し、GFPからBFPの色の変化から相同性組換えの効率を評価する。また、内因性のゲノム配列におけるゲノム編集も行い、非相同末端連結による変異導入に対する相同性組換えによる正確なゲノム編集の割合を算出し、既存の手法と比較する。
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