2019 Fiscal Year Annual Research Report
近世スコラ哲学における存在論の生成史との比較に基づくデカルト形而上学の体系的研究
Project/Area Number |
17J08686
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 悠介 慶應義塾大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | デカルト / クラウベルク / 形而上学 / 存在論 / 近世哲学 / 近世スコラ哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
「存在論」との比較によって近世形而上学の構造改革、およびその系譜におけるデカルト哲学の特性を明らかにすることを目的とする本研究であるが、本年度の成果は以下の通りである。 1)クラウベルク『オントソフィア』の生成、およびその体系構造の研究:クラウベルクの主著であり、存在論(Ontologia)の代表的著作の一つである『オントソフィア(Ontosophia)』の諸版を比較することによって、『オントソフィア』の著作の生成過程を検討した。また、主著『オントソフィア』の体系構造の研究を行なった。デカルトの影響を受ける前の初版(1647年)を読解することで、『オントソフィア』の存在論の核となる構造の分析を試みた。「原因の代わりのラティオ(ratio)による、原因からの論証」によって、『オントソフィア』の学の主題である「知解可能なもの(intelligibile)」から諸属性が次々と導出され、それによって『オントソフィア』全体の構造が構成されているのではないか、という仮説を得た。 2)存在論の系譜と比較した、デカルト形而上学の特質の研究:従来の形而上学の主題である「存在者としての存在者(ens inquantum ens)」を「知解可能なもの(intelligibile)」へと拡張し、その諸属性を体系化された構造の元に分析していくという特徴を持つ「存在論」の系譜と比較することで、デカルト形而上学の特質を分析した。同じく思惟、思考を重視しつつも、これら二つの形而上学は全く別の系譜に属するものと解釈されるべきであり、デカルト哲学によって「存在論」の発生が促されたのではなく、デカルト哲学によって「存在論」が(クラウベルク以降)変質したと捉えられるべきである、という解釈が得られた。この洞察によって、「存在論」、デカルト哲学の両系譜を描くための基礎が得られた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)