2017 Fiscal Year Annual Research Report
膜の孔径分布評価に基づくRO膜での有害化学物質の除去メカニズムの解明
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17J08737
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 悠 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 下水再利用 / RO膜処理 / 空隙径評価 / 細孔モデル / N-ニトロソアミン類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は安全かつ効率的な下水再生処理のため、RO膜処理における低分子量物質の除去率予測手法の開発を目的としたものである。細孔モデルに基づき、単一条件下における1物質の除去率の実測値とモデル推定値を比較することによりRO膜の空隙径を推定する手法を考案した。推定されたRO膜の空隙径をモデル計算に用いることにより、分子サイズの異なる8種のニトロソアミン類ならびに7種の揮発性物質の除去率予測を可能にした。また、複数のRO膜を用いて同様の評価を行い、ニトロソアミン類の除去率はRO膜の空隙径に大きく影響されることを明らかにした。このようなRO膜の構造特性と低分子量物質の除去性との関係は除去性能に優れるRO膜開発の一助となり得る。さらに本研究は、RO膜処理での低分子量物質の除去率変動に大きく寄与する因子であるフラックス、水温、膜ファウリングの影響を反映したモデル計算手法を開発した。単一条件下における1物質の除去率の実測値とモデル推定値を比較することにより推定されたRO膜の空隙径をモデル計算に用いることにより、8種のニトロソアミン類についてフラックス変化時の除去率の変動を予測が可能であることを示した。一方、単一条件下で推定された空隙径を用いたモデル計算では、水温変化時のニトロソアミン類の除去率を精度よく予測することが困難であった。本研究では水温と空隙径の関係性を明らかにするとともに、水温変化に伴う空隙径変化をモデル計算に反映させることにより、水温変化時のニトロソアミン類の除去率の変動を精度よく予測することを可能にした。また膜ファウリングに伴う空隙数の減少をモデル計算に反映することにより、膜ファウリング進行時のニトロソアミン類の除去率を比較的精度よく予測することを可能にした。さらに開発した除去率予測手法の適用性を実験室スケールならびにパイロットスケールで検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はGC-MSを用いた新たな対象物質の分析手法の立ち上げやRO膜での低分子量物質の除去率予測手法の開発に成功し、当初予定していた研究計画を順調に進めることができている。本年度の具体的な研究進捗状況は以下の通りである。細孔モデルに基づき、単一条件下における1物質の除去率の実測値とモデル推定値を比較することによりRO膜の空隙径を推定する手法を考案した。推定されたRO膜の空隙径をモデル計算に用いることにより、分子サイズの異なる8種のニトロソアミン類ならびに7種の揮発性物質の除去率予測を可能にした。また、複数のRO膜を用いて同様の評価を行い、ニトロソアミン類の除去率はRO膜の空隙径に大きく影響されることを明らかにした。さらに本研究は、RO膜処理での低分子量物質の除去率変動に大きく寄与する因子であるフラックス、水温、膜ファウリングの影響を反映したモデル計算手法を開発した。単一条件下における1物質の除去率の実測値とモデル推定値を比較することにより推定されたRO膜の空隙径をモデル計算に用いることにより、8種のニトロソアミン類についてフラックス変化時の除去率の変動を予測が可能であることを示した。また、水温と空隙径の関係性を明らかにするとともに、水温変化に伴う空隙径変化をモデル計算に反映させることにより、水温変化時のニトロソアミン類の除去率の変動を精度よく予測することを可能にした。また膜ファウリングに伴う空隙数の減少をモデル計算に反映することにより、膜ファウリング進行時のニトロソアミン類の除去率を比較的精度よく予測することを可能にした。さらに開発した除去率予測手法の適用性を実験室スケールならびにパイロットスケールで検証した。一方で、昨年度は研究成果を出すことに注力しており、学会や学術誌にて研究成果を発表する機会が少なかったため、本年度は研究成果の対外発表に積極的に取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度よりも多くのRO膜を対象として開発した予測手法の適用性を評価し、手法の適用範囲(限界性)を明確にする。また、昨年度得られた研究成果を化学工学分野・環境工学分野の学術誌や学会にて発表し、研究成果の社会への還元を図る。
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Research Products
(1 results)