2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mobility enhancement of two dimensional hole gas on diamond MOSFET
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17J08746
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲葉 優文 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 特別研究員(PD) (20732407)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / 移動度 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンド水素終端表面に形成される2次元正孔ガス層の移動度を向上させる研究を行った。 水素終端ダイヤモンドの2次元正孔ガスは表面に吸着する負電荷により誘起されるが、これは同時にキャリアの散乱を誘発し、移動度は低下する。移動度の向上のためには、この電荷吸着を水素終端表面から離すことが重要となる。AlGaAsの系では、すでに同様の課題を解決するべく、2次元電子ガス層と電荷の間に、電荷を持たないスペーサー層を形成している。ダイヤモンドにおいても、水素終端表面上にこの無電荷のスペーサー層を形成することで移動度の大幅向上が見込める。 移動度低下原理の調査を目的として、ダイヤモンド2次元正孔ガスMOSFETを作製し、その移動度を評価した。ダイヤモンド基板は、12C濃縮高純度ダイヤモンド基板を用い、ゲート絶縁膜に450℃の高温での原子層堆積法によるAl2O3膜を用いた。移動度は、FET特性の相互コンダクタンスから算出し、温度を50Kから室温まで変化させて依存性を評価した。温度に寄る移動度の変化は小さいことから、移動度を決定するメカニズムと知られている表面ラフネスによる散乱、イオン化不純物散乱、外部固定電荷によう散乱のうち、特に2次元伝導層において支配的なのは、温度依存性が小さい外部固定電荷によるキャリア散乱であることが示された。 研究開始後の新展開として、電荷を持ちやすいゲート絶縁膜を持たず、ゲート電極とチャネルの間を真空または不活ガスとしたホール効果素子を試作中である。絶縁膜を、電荷を持たないはずの不活ガスに出来れば、外部電荷による散乱が抑制されるはずであるが、同時にキャリアが誘起されないと考えられる。そこで、不活ガスゲートの上に、別に用意したゲート電極から大きなポテンシャルを誘起することで、電極端からキャリアを供給し、チャネルとすることを考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に加えて、移動度低下要因の調査を優先して進めているため、進捗に若干の後れがある。 現状のダイヤモンド2次元正孔ガス層の移動度低下要因の調査するため、既存の構造のMOSFETの電界効果移動度の温度特性を得ることで、研究課題の根底が正しいことを示した。現在、本当に絶縁膜の電荷を取り除いたら移動度が向上するのか検討するために、リモートゲートホール効果素子の試作に取り組んでいるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
不活ガス・ダイヤモンドを絶縁膜としたデバイスを作製し、移動度を評価する。 絶縁膜の負電荷を抑制することが本研究で重要となることを、評価するため、露出した水素終端ダイヤモンドチャネルに、絶縁膜として雰囲気制御された不活ガスを採用して 正孔ガスを誘起する。この際、ゲート電極としてn-Siを試行するが、これは正孔ガスのカウンターチャージを誘起しやすいためである。 また、水素終端ダイヤモンド上に、酸素終端などの表面処理を施したダイヤモンド薄膜を転写するとこで、ダイヤモンドを絶縁膜としたデバイスが形成可能かを検討する。ダイヤモンド薄膜の形成には、ダイヤモンド中にグラファイト層をイオン注入で作り込む方法が知られており、これを応用する。 次年度には、h-BNやSiO2を絶縁膜に用いたデバイスを試作し、移動度を評価する。
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[Journal Article] Effect of a radical exposure nitridation surface on the charge stability of shallow nitrogen-vacancy centers in diamond2017
Author(s)
Taisuke Kageura, Kanami Kato, Hayate Yamano, Evi Suaebah, Miki Kajiya, Sora Kawai, Masafumi Inaba, Takashi Tanii, Moriyoshi Haruyama, Keisuke Yamada, Shinobu Onoda, Wataru Kada, Osamu Hanaizumi, Tokuyuki Teraji, Junichi Isoya, Shozo Kono, Hiroshi Kawarada
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Journal Title
Applied Physics Express
Volume: 10
Pages: 055503~055503
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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