2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of comprehensive exploration technique for subseafloor resources
Project/Area Number |
17J08764
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石須 慶一 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | CSEM法 / 比抵抗 / 逆解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界各国で地下資源の開発,特に海底下のエネルギー・金属資源に注目が集まっている。しかしながら,これらの新たな海底資源の濃縮度や賦存量を非破壊で把握する手法は未だに確立されておらず,商業的な開発には新しい探査技術が求められる。そこで,私は比抵抗(電気の流れにくさ)情報を得ることができる海底電磁探査(CSEM法)に注目した。CSEM法とは,電磁誘導現象を利用し,海水中で送信した電磁場を海底面に設置した受信機で測定することにより,海底下の比抵抗構造を推定する手法である。例えば,海底熱水鉱床は一般的な堆積層に比べて,比抵抗が十分の一程度であるため,比抵抗情報によって探査が可能となる。現在,研究機関を中心としてCSEM法を用いて,海底資源探査が成功を収めつつある。しかし,海底下の資源は3次元的な分布構造をしているのにもかかわらず,本探査法の解析の多くは,2次元逆解析に基づいている。そのため,2次元解析では,資源賦存量を正しく評価する事ができないため3次元解析が必要とされている。3次元解析が一般的に行われていない理由は,3次元CSEM法逆解析は莫大な計算量が必要となるため,効率的な数値計算法の開発が必要であるからである。そこで,本研究ではデータスペースアプローチという数値計算を効率的にする手法を用いて3次元CSEM法逆解析ソフトウェア開発を行った。更に,逆解析においては,モデル共分散を設定する必要がある。モデル共分散は任意に設定できるが,これまで,モデル共分散の逆解析結果への影響はCSEM法逆解析については研究されていなかった。本研究では,その影響を定量的に調査した。また,実際に沖縄トラフ海域で得られたCSEM法観測データに関しては,現在データ処理を行っており,開発したソフトウェアにインプットできる状態まで到達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3次元CSEM法逆解析のソフトウェアの開発に成功した。本ソフトウェアでは,逆解析においてモデルを解く際の数式をモデルスペースからデータスペースに変換を行ったため,計算コストが大幅に削減されている。データスペースアプローチを用いて,逆解析を行う場合に,モデル共分散を任意に設定することができる。既存研究では,このモデル共分散をガウシアン分布と仮定し,その共分散を組み入れた電磁探査ソフトウェアが使われてきた。しかし,この共分散は,推定する地下構造に強い影響を与えるのも関わらず,これまで,この共分散の影響に対する研究はほとんどなされていない。そのため,私はこの影響を定量的に評価する分析を行い,有益な指標を発見することができた。この指標は,私自身が開発したソフトウェアのみならず,一般的に使われている電磁探査ソフトウェアにも関連するため,多くの電磁探査ソフトウェアユーザーに有益であると考えられる。また,実際に沖縄トラフ海域で得られたCSEM法観測データに関しては,データ処理を行った。逆解析を行う前に,観測データが妥当であるか詳細な検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
データ処理を行った沖縄トラフ海域で得られたCSEM法データを開発した3次元逆解析ソフトウェアで解析する予定である。解析結果の比抵抗構造を解釈することで,海底熱水鉱床の賦存量の推定を行う予定である。
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Research Products
(2 results)