2017 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性物質ポエシラストリン類の構造研究からV-ATPase阻害機構の解明へ
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17J08775
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入江 樂 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | カイメン / ポエシラストリン/poecillastrin / 立体化学 / 構造訂正 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポエシラストリン(Poecillastrin)類は、がんや骨粗鬆症などの疾病にも関わるV-ATPaseの阻害によってがん細胞に対する強力な毒性を示し、分子ツールや創薬のリード化合物として有望なマクロライド化合物であるが、平面構造のみの報告にとどまっていた。我々は培養細胞の形態変化を指標とする活性試験を用いて、カイメンから化学反応が行える量のポエシラストリン類を単離することができたため、分光学的手法および有機化学的手法によってその構造を明らかにすべく研究に着手した。 まずβ-ヒドロキシアスパラギン酸残基の絶対配置をMarfey法により決定した。過去の構造決定における課題となっていた結合様式については、誘導体化による識別と標品アミノ酸の化学合成を行った結果、構造訂正に至った。また3種の新規類縁体を発見し、その構造決定にも本手法を適用した。 天然物の各種2次元NMRデータの解析を行い相対配置を決定するとともに、天然物の分解反応によって得られたフラグメントと標品のLC-MS分析を行うことで絶対配置を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい誘導体化手法の導入により一般性の高い構造決定法を立案し、それを適用して過去のポエシラストリン類の提出構造の訂正を行うとともに、新規類縁体を3種発見した。さらに分子内の大多数の不斉炭素の立体化学の決定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き立体化学の解析を行うとともに、前年度までの方針を踏襲する。
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