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2017 Fiscal Year Annual Research Report

マヨラナ準粒子に起因する新奇ジョセフソン現象の理論研究

Research Project

Project/Area Number 17J08855
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

川上 拓人  京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywordsトポロジカル超伝導 / ディラック電子 / マヨラナ準粒子
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は、(i) 高次スピン電子のトポロジカル超伝導と(ii) Fe(Se,Te)系の超伝導の研究を遂行した。
(i) 本来電子のスピンは1/2であるが、結晶中でスピンと軌道の角運動量が結合すると、より高い3/2スピンが現れる場合がある。偶奇のパリティを持つ2軌道のスピン3/2電子が両方ともフェルミ面近傍にある物質として、逆ペロブスカイト物質が挙げられる。そして、近年京都大学の実験グループによって、この逆ペロブスカイト物質の一つであるSr3SnOにホールドープすると超伝導が実現することが実験的に確認された。本研究ではこれらの背景からスピン3/2かつ2軌道の電子系の超伝導のトポロジカル特性や高いスピンに起因する物性を理論的に研究した。この系では、スピン自由度が4つ、軌道自由度が2つ存在する。この内部自由度によって、弱結合超伝導のようにギャップ関数が波数に依存しない場合でも、多彩な超伝導状態が許される。本研究では、異なる軌道間の引力が同じ軌道間のものよりも大きな場合、スピン0の奇パリティ超伝導が実現されることを明らかにした。さらにこの超伝導状態は、常伝導状態での電子が高いスピンを持つことに起因して、1よりも大きな巻付き数を持つ"higher winding"トポロジカル超伝導であることを解明した。
(ii) 東京大学物性研究所のグループのARPES実験により、Fe(Se,Te) 系の常伝導状態がディラック半金属となっていることが観測された。それを受けて本研究では、そこで実現しうるトポロジカル超伝導を研究した。まず、ディラック半金属を形成する2バンドを群論の観点から同定した。そしてその2バンド間の引力相互作用による超伝導状態がマヨラナフラットバンドを持つバルクトポロジカル超伝導であることを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

大きなスピンを持つトポロジカル絶縁体の超伝導の研究では、スピン0の最も単純な奇パリティクーパー対を形成した場合でも、従来のスピン1/2系にはない、より高い巻き付き数をもつトポロジカル超伝導が実現することが明らかになった。このとき表面状態として複数のマヨラナ型分散が現れることになる。今後このような新しいトポロジカル超伝導を検証するための実験の進展が期待される。さらにこれらは今後2年間で新奇なジョセフソン現象の研究を推進するための基礎となる知見である。
Fe(Se,Te) 系の研究では、東京大学物性研究所の実験グループに協力し、この物質がバルクトポロジカル超伝導となりうることを明らかにした。FeSeは比較的高い転移温度を持つことから、本成果は高温でのバルクトポロジカル超伝導を実現するための基盤となる。

Strategy for Future Research Activity

本年度、大きなスピンをもつ系について高い巻き付き数を持つトポロジカル超伝導が存在することを示した。今後はこの系で現れるジョセフソンを解明することが課題となる。高い巻き付き数に起因する複数のマヨラナ準粒子状態が、ジョセフソン電流やエネルギースペクトルと超伝導位相の関係にどのような影響を与えるか解析する。また本年度は主にスピン0の奇パリティクーパー対を主に考えてきたが、スピン1やスピン3のクーパー対による超伝導も、スピン0と同等の転移温度を持つ。今後、これらの異なる超伝導状態で、実験シグナルにどのような違いが現れるか考察する。そして、実際にどの超伝導状態が実現しているかを検証する方法の理論提案を目標にする。
Fe(Se,Te) 系については、トポロジカル指数や、それに起因する表面状態などの具体的な解析を推進する必要がある。現在すでに予備計算より、表面の方向によって表面状態の振る舞いが異なることが明らかになりつつある。今後、表面の保つ対称性とトポロジーとの関係を明らかにする。

  • Research Products

    (7 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (6 results)

  • [Journal Article] Symmetry-guaranteed nodal-line semimetals in an fcc lattice2017

    • Author(s)
      Kawakami Takuto、Hu Xiao
    • Journal Title

      Physical Review B

      Volume: 96 Pages: 1-9

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.96.235307

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] スピン3/2トポロジカル絶縁体の超伝導2018

    • Author(s)
      川上 拓人
    • Organizer
      日本物理学会第73回年次大会
  • [Presentation] Spin Textures in the Majorana Bound States2017

    • Author(s)
      Takuto Kawakami
    • Organizer
      Majorana States in Condensed Matter Towards Topological Quantum Computation
  • [Presentation] Spin Texture of Majorana Bound State in Topological Superconductor2017

    • Author(s)
      Takuto Kawakami
    • Organizer
      14th International Workshop on Magnetism & Superconductivity at the Nanoscale
  • [Presentation] Spin 3/2 superconducting topological insulators2017

    • Author(s)
      Takuto Kawakami
    • Organizer
      Novel Quantum States in Condensed Matter 2017
  • [Presentation] Spin 3/2 superconducting topological insulators2017

    • Author(s)
      Takuto Kawakami
    • Organizer
      CEMS Symposium on Trends in Condensed Matter Physics
  • [Presentation] Symmetry-Guaranteed Nodal Line Semimetallic states in fcc structures2017

    • Author(s)
      Takuto Kawakami
    • Organizer
      Conference on Topological Quantum Phases and Topological Quantum Computation

URL: 

Published: 2018-12-17  

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