2018 Fiscal Year Annual Research Report
大きく変動しうる河川環境のもとでアユ個体群を管理するための堅牢な接近手法の確立
| Project/Area Number |
17J09125
|
|---|
| Research Institution | Kyoto University |
|---|
Principal Investigator |
八重樫 優太 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
| Keywords | インパルス制御 / 食害 / カワウ / アユ / 個体群管理 / 最適制御 / 確率制御 / ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
確率インパルス制御理論に基づく数理モデルの開発を行なった．これにより，現実的に行なうことの可能な，断続的な（時間連続的でない）制御が導かれる．また，これに伴って値関数の支配方程式がハミルトン・ヤコビ・ベルマン変分不等式から ハミルトン・ヤコビ・ベルマン準変分不等式へと変わった．基本的には今まで考案した手法をもとにすれば，数値的に求解することが可能である．本モデルは，アユ個体群の効果的な管理を行ううえで最も大きな問題のひとつである，カワウ個体群管理の閾値と駆除幅を決定することができる．駆除幅を決定できる点が，昨年度のモデルからの改良点のひとつである．
昨年度と同様に，動的計画法に依拠して導出される，値関数を支配する方程式に対して有効である一種の弱解，粘性解の理論に基づき，改良したカワウ個体群モデルの解の存在，一意性，安定性を調べた．モデルより導かれる，非線型の連立方程式を解析することにより，改良した数理モデルが簡単な場合において，解の存在，一意性，安定性を示すことができた．昨年度考案した手法をもとに，値関数の支配方程式であるハミルトン・ヤコビ・ベルマン準変分不等式を数値的に解くための数値計算手法の開発を行なった．具体的には，既存のFitting techniqueに基づく有限要素法を基礎に，ペナルティ法またはPolicy iterationに基づく離散化手法を考案した．また，考案した両手法を実際に実装し，ベンチマーク問題により考案した両手法の有効性（誤差や安定性）についても検討を行なった．これにより，ハミルトン・ヤコビ・ベルマン準変分不等式を安定して数値的に求解できるようになった．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着実に数理モデルの構築，数値計算手法の考案が進んでいることから，本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる．
|
| Strategy for Future Research Activity |
次年度は，アユの個体群モデルとのカップリングを行う予定である．それに伴い，カワウ個体群モデルの非定常化を行う予定である．その後，現実のアユ資源管理問題に対して本モデルを適用する．さらに，アユのダイナミクスとのカップリングした数理モデルにおける解の存在，一意性，安定性についての検討を行なう予定である．最後にアユのダイナミクスとのカップリングした数理モデルに対する数値計算手法（非定常問題）を考案する予定である．
|
