2017 Fiscal Year Annual Research Report
液晶性コロイドナノクリスタルを基盤とする次世代ハイブリッド材料の構築
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17J09259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 真成 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 液晶 / ハイブリッド材料 / コロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
生体が作り出す硬組織はバイオミネラルと呼ばれ、歯や骨がその代表例である。これらのバイオミネラルは優れた機械的強度を発現する。これは、ヒドロキシアパタイトのナノロッド粒子が生体高分子と複合化し、さらにナノレベルで配列した無機と有機のハイブリッド構造を形成しているためである。このように、ヒドロキシアパタイトと有機の複合化構造および配列構造を制御することで、優れた機能性を有する生体調和性材料の開発が期待できる。本研究では、そのような配列構造を構築するアプローチとして液晶性物質が示す自主配列能に着目しヒドロキシアパタイトに液晶性を付与し、さらに有機分子と複合化させることで、機能性無機/有機ハイブリッド材料の開発を目指した。 本年度は、液晶性ヒドロキシアパタイトナノロッドを外部磁場により巨視的なスケールで制御できることを見出した。さらに、磁場によりその配列方向をスイッチングすることで、透過光強度のスイッチングを達成し、磁気光学材料としての可能性を示すことができた。 次に、ナノロッド表面が負電荷を有することから、末端に正電荷を有するアンモニウムイオンを有する有機分子を設計、合成し、それらの分子をナノロッド表面に修飾することに成功した。その結果、ナノロッド表面の疎水性が高まり、クロロホルム等の有機溶媒中でもコロイド状態の形成が可能になった。さらに、偏光顕微鏡観察により、有機溶媒中でも同様に液晶が発現することが分かった。今後、この液晶性を利用して秩序構造を制御し、表面修飾に用いる有機分子の機能を付与することで、秩序構造を有する機能性無機/有機ハイブリッド材料の開発につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究において、ヒドロキシアパタイトナノロッド液晶の磁場配向挙動を解析し、磁場を利用した光スイッチングに成功した。また、その液晶性ナノロッドに複合化可能な有機分子を設計、合成し、これらの有機分子と複合化したナノロッドの有機溶媒中での液晶性の発現を達成した。これらの研究結果は、新しい無機/有機ハイブリッド材料の構築する上で重要な成果であると考えられ、平成29年度における研究は当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究において、液晶性ヒドロキシアパタイトナノロッドの磁場による配向制御と有機分子との複合化に成功した。今後は、複合化させる有機分子の分子設計をさらに検討し、その機能性とナノロッドの液晶性を組み合わせることで、その材料応用の可能性を追求する予定である。
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Research Products
(8 results)