2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J09488
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中内 大介 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | シンチレータ / 蛍光体 / 結晶育成 / 熱蛍光 / 残光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではFloating Zone法を用いて、これまであまり着目されていなかったHf、Ta、Wなどの重元素を構成元素とする酸化物の単結晶育成を行い、新たな重元素系シンチレータを開発することを目的とする。本年度は高い実効原子番号を有しているが、高融点のためほぼ検討がなされていなかったHf系酸化物単結晶に着目して検討を進めた。RE2Hf2O7 (RE=La,Gd,Lu) についてキセノンランプ集光式Floating Zone法を用いて結晶育成を試みたところ、無色透明な単結晶が得られた。全てのサンプルは単相を示しており、イオン半径の増加 (Lu→Gd→La) とともにわずかに粉末X線回折における低角シフトが観測されている。これらのサンプルにX線を照射することでLa2Hf2O7では440 nm、Y2Hf2O7およびGd2Hf2O7では500 nm付近にブロードな発光が観測された。作製したサンプルの中ではLa2Hf2O7単結晶が最も高い発光量子収率およびシンチレーション発光強度を示した。この組成について同族元素置換を行うことにより酸素欠陥発光の増大に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
La2Hf2O7単結晶を用いたパルス波高分布測定により全エネルギー吸収ピークが観測され、本材料はパルス計測 (エネルギー測定) に適用可能であることを見出した。本材料のエネルギー当たりの発光量は実用されているPbWO4とBi4Ge3O12の中間値を示し、新規重元素シンチレータの発見には至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発したシンチレータは実用品と比較するとPbWO4より密度は劣るが発光量は約3倍、BGOと比べると密度の面で有利となるトレードオフの関係にある材料だと言える。これまでは内在発光の増大により発光特性の向上を目指していたが、今後発光中心元素の検討を行うことで引き続き効率の良い発光を示す材料を開発する予定である。
|