2017 Fiscal Year Annual Research Report
弗化物透明セラミックスシンチレータ・ドシメータの開発
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17J09501
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 匠 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 透明セラミックス / シンチレータ / ドシメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では放射線計測用の新規材料を開発することを目的に、アルカリ土類金属弗化物透明セラミックスの作製及びそのシンチレーション・ドシメータ特性の評価を行っている。当該年度においては、γ線検出用シンチレータとして有用であることから研究成果のインパクトが最も大きいと予想されるBaF2透明セラミックスの作製方法の確立およびシンチレーション特性の評価を行った。 始めに放電プラズマ焼結(SPS)法を用いてBaF2透明セラミックスの焼結条件を検討した。焼結温度、焼結時間、昇温速度、印加圧力を調整し、さらに雰囲気を制御しながら各パラメーターの最適値を模索したところ、窒素雰囲気下で二段階焼結法を用いることで透過性の高いセラミックスが得られた。作製したサンプルの両面に対して光学研磨を行い、真空紫外領域における直線透過率を測定したところ、セラミックスサンプルの直線透過率は単結晶サンプルよりも劣るものの、BaF2のバンドギャップである160 nm付近まで透過性を有していた。X線誘起シンチレーションスペクトルにおいて、セラミックスサンプルは単結晶サンプルと同様に自己束縛励起子発光が 320 nmに、オージェ・フリー発光が190 nm と220 nm にそれぞれ観測された。これらの蛍光減衰時定数を観測したところ、0.7nsと740 ns程度の時定数が得られ、既報の単結晶の結果と同様であった。続いて、セラミックスサンプルの137Csのγ線励起によるパルス波高値スペクトルを測定したところ、発光量は6,000 photons/MeVであり、単結晶サンプルの発光量と比較すると六割程度であった。一方で、残光特性を評価したところ、セラミックスサンプルは0.0112 %、単結晶サンプルは0.0153 %であったことから、残光特性においてはセラミックスサンプルの優位性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、初年度にてBaF2透明セラミックスの作製及び放射線応答特性の評価を達成出来たため、二年目はCaF2及びSrF2透明セラミックスの作製、及びそれらの放射線応答特性の評価を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
SrF2, CaF2及びMgF2の透明セラミックスの作製と放射線応答特性を行うとともに、BaF2透明セラミックスの発光量は単結晶よりも劣っていたため、焼結条件のみならず原料粉末の合成方法の検討を行い、より欠陥の少ない透明セラミックスを作製することで発光特性の改善を試みる。
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