2017 Fiscal Year Annual Research Report
難治性がんを制御し、難治性てんかんも制御する創薬基盤の確立
Project/Area Number |
17J09536
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
佐田 渚 川崎医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 乳酸脱水素酵素 / てんかん / がん / スチリペントール |
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸脱水素酵素は、難治性てんかんの創薬標的であり、難治性がんの創薬標的でもある。これまで私は、てんかん治療薬であるスチリペントールに乳酸脱水素酵素阻害作用があることを明らかにしてきた。しかし、その阻害作用は弱いため、より強い乳酸脱水素酵素阻害剤を同定する必要がある。そこで、本研究課題では、3年間の研究期間において、スチリペントールを起点として強力な乳酸脱水素酵素阻害剤を同定するだけでなく、これを難治性がんに効く抗がん剤として開発し、さらに難治性てんかんに効く抗てんかん剤としても開発することを目的とする。まず1年目では、強力な阻害作用を持つ乳酸脱水素酵素阻害剤の同定を行った。私はこれまで、スチリペントールのヒドロキシ基とtert-ブチル基が無い化学構造を持つイソサフロールでも、乳酸脱水素酵素阻害作用が保存されていることを見出している (Sada et al, Science 2015)。そこで、このイソサフロール構造を母核に持つ化合物を探索した結果、スチリペントールやイソサフロールよりも強力な乳酸脱水素酵素阻害作用を持つ化合物を複数同定することに成功した。来年度と再来年度では、見出した乳酸脱水素酵素阻害剤に関し、抗がん作用と抗てんかん作用を調べる予定である。さらに来年度以降に行う抗てんかん作用評価に先立ち、てんかんマウスモデルを用いたin vivo てんかん実験系の立ち上げを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに、乳酸脱水素酵素阻害剤の同定が完了した。本成果は、3年計画の1年目として予定通りの進捗状況である。同定した乳酸脱水素酵素阻害剤を用いることで、次年度以降の研究計画である抗がん作用・抗てんかん作用評価に、問題なく進むことができると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
3年間の研究期間において、まず乳酸脱水素酵素阻害剤を新たに同定し、さらに来年度以降に向けて、in vivo てんかん実験系も構築した。そこで30年度と31年度において、構築した実験系を用いて新規阻害剤の抗てんかん作用を調べると共に、抗がん作用に関しても評価する予定である。
|
Research Products
(1 results)