2019 Fiscal Year Annual Research Report
非晶構造解析に基づく高効率塗布型ホストフリーTADF材料の設計と開発
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17J09631
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 啓幹 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 逆項間交差 / スルースペース / 熱活性型遅延蛍光 / TADF / 有機EL / OLED |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度(令和元年度)は、当初の予定を超えて、逆項間交差(RISC)の速度定数(kRISC)の向上に取り組み、“tFFO”と名付けた新たな分子設計を打ち立てた。これまでに、H, C, N等の豊富に存在する元素のみからなる熱活性型遅延蛍光(TADF)材料は数多くの報告されているものの、いまだkRISCは10^6 /s以下であり輻射緩和の速度定数と比較すると1桁以上小さい状況にとどまっていた。長い励起子寿命は材料の劣化および素子寿命の低下を引き起こす要因の一つと考えられるため、RISCの高速化が望まれる。 従来、熱活性型遅延蛍光(TADF)材料の設計指針として、最低励起一重項(S1)および最低三重項(T1)のエネルギー差ΔESTを限りなく小さくすることに焦点が当てられてきたものの、RISCの高速化にはさらなる分子設計が必要である。本研究で提案した分子設計tFFOにおいては、電荷移動一重項、三重項(それぞれ1CT, 3CT)、および、局所励起三重項(3LE)の3つのエネルギー準位を近接させる分子設計指針である。これにより、高速なRISCが期待される。実際にtFFOの設計に基づきTpAT-tFFOと名付けた分子を設計・合成したところ、kRISC = 1.2×10^7 /sと極めて高速なRISCの実現に成功した。 TpAT-tFFOはH, C, N元素のみから構成される分子であるが、tFFOは様々なドナーおよびアクセプター骨格に応用可能な分子設計指針であり、今後、SやPといった重い原子を導入することによって、RISCをさらに高速化可能と期待できる。本研究の成果はTADFおよび有機ELの枠組みにとどまらず、基礎科学として重要な知見を与えるものである。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)