2017 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集ES細胞を用いた1世代個体解析法の開発と性染色体機能解析への応用
Project/Area Number |
17J09669
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 貴史 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | CRISPR/Cas9 / ES細胞 / ゲノム編集 / 遺伝子改変マウス / 有性生殖細胞 / 男性不妊 |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣に発現している性染色体遺伝子は男性の生殖機能に重要な役割を果たすと考えられているが、その多くは未だ機能が明らかになっていない。本研究では、緑色蛍光を発するES細胞とCRISPR/Cas9システムを組み合わせることで、ファウンダー世代(F0)の雄のキメラマウス1世代のみで性染色体遺伝子の生殖能力における機能を迅速に解析することを目的とし、様々なX染色体遺伝子(1)とY染色体長領域(2)の解析を行った。 (1)X染色体については、精巣で発現する6遺伝子について、予定通りキメラマウスの作製・精子形成の観察を行った。キメラマウス精巣でES細胞由来の精子をGFP蛍光を頼りに観察した結果、すべての系統で正常に分化した精子が観察でき、受精能に問題はなかった。現在は、キメラマウスから交配によって遺伝子ノックアウト(KO)マウスを作製し、再度表現型を確認するとともに、新たな候補遺伝子の解析準備を行っている。以上の結果は日本実験動物学会において発表を行った。(2)ヒトで男性不妊の原因と考えられている領域について、マウスでの相同領域380kbを欠損したES細胞を作製し、キメラマウスを作製・精子形成を解析した。キメラマウス精巣ではGFP陽性の精子が観察され、精子の受精能にも問題は見られなかった。以上の解析よりこの領域がマウスの精子形成に必須でないことを明らかにすることができた。この結果は、国際学会で発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR/Cas9システムを用いて性染色体の遺伝子KOマウスを作製し、予定通り、X染色体では6遺伝子、Y染色体では、長領域欠失マウスの精子形成を解析した。研究結果は学会で報告し、論文にまとめているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスでは、常染色体上にY染色体長領域内に存在する遺伝子のホモログが存在する。 このホモログはヒトには存在しない。現在、CRISPR/Cas9システムを用いてY染色体領域と常染色体ホモログの両方を欠失した二重欠失マウスを作製しており、今後解析を行うところである。
|
Research Products
(3 results)